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Q&Aソングス ジーン・ブラックのHe'll Have to Stay (He'll Have to Goのアンサー)

2009-11-25

Q&Aソングス その5 ジーン・ブラックのHe'll Have to Stay

曲名
ヒール・ハフ・トゥ・ステイ(He'll Have to Stay)
アーティスト
ジーン・ブラック(Jeanne Black)
収録アルバム
『アンサー・トゥ・エヴリシング』(The Answer to Everything)
作曲者
ジョー&オードリー・アリソン、チャールズ・ランドルフ・グリーン(Joe & Audley Allison, Charles Randolph Grean)
リリース年
1960年


He'll Have to Goシリーズも、ジム・リーヴズのヒット・ヴァージョンビリー・ブラウンのオリジナル・ヴァージョンと見てきたので、今回はアンサー・ソングの出番です。

アンサー・ソングというのは、いわば小判鮫なので、元にした大ヒット曲よりずっと小物と相場は決まっています。しかし、なんにでも例外はあるもので、ジーン・ブラックのHe'll Have to Stayは、もとの鮫と同じぐらいのサイズに成長したきわめて稀な例です。

jeanne black

どれくらいのサイズかというと、ビルボード・ポップ・チャートの4位です。ジム・リーヴズのHe'll Have to Goはポップ・チャートでは2位だったので、ほぼ同サイズといっていいでしょう。ジーン・ブラックのHe'll Have to Stayはアンサー・ソングには稀な大ヒット曲だったのです。

ジム・リーヴズのHe'll Have to Goとジーン・ブラックのHe'll Have to Stay


☆ コードの変更 ☆


ソングライター・クレジットを見ればわかるように、曲はもとのままで、チャールズ・ランドルフ・グリーンによる歌詞だけが原曲とは異なります。

テンポ、アレンジ、サウンドのムードも原曲に近いのですが、ただし、一カ所だけ、耳だつ変更があります。He'll Have to StayのキーはBフラットです。ファースト・ヴァースでいうと、3行目は以下のようなコード進行になっています。

You broke the date that we had made just yesterday
Bb              Bb7                Eb    Ebm

ここはジム・リーヴズのHe'll Have to Goでは、

I'll tell the man to turn the juke box way down low

となっているところで、ジム・リーヴズのほうは、Ebのままで、マイナーには行きません。

jeanne black

この箇所をEb-Ebmというようにすると、マイナーだから当たり前ですがうら悲しい気分が生まれ、終わった男への憐れみのようなものが感じられます。メロディーには無関係なところでの、ささやかなコードの変更なのですが、大きな効果を上げています。


☆ 歌詞の工夫 ☆


He'll Have to Go自体、歌詞に大きなウェイトがかかった曲でしたが、そのアンサー・ソングであるHe'll Have to Stayも、やはり歌詞の比重は小さくありません。

アンサー・ソングのアンサーの仕方は、肯定、否定、半ひねり、いろいろあるでしょうが、ジーン・ブラックのHe'll Have to Stayはきびしい拒絶です。

jeanne black

うちにある国内盤のベスト・オヴ・ジム・リーヴズによると、He'll Have to Goの邦題は「浮気はやめなよ」となっています。インチキ邦題ではないのですが、読みの浅い勘違いで、いい邦題とはいえません。

その点、He'll Have to Stayは原曲をきちんと読み込んだうえで書かれています。やっぱり作詞家と配給会社社員では勝負になりませんな。

「浮気はやめなよ」では歌詞を聴いたとはいえないのです。なぜか? He'll Have to Goの語り手は、恋人が他の男といっしょにいることに腹を立てていません。自分のほうがマシだ、そんな奴は不要だろう、帰らせろよ、といっているだけです。やや拡大解釈かもしれませんが、「お願いしている」という口調であって、命令しているわけではないのです。

なぜ、命令ではなく、お願いなのかを考えれば、「浮気はやめなよ」という邦題は出てきません。なぜ男は腹を立てず、お願いしているのか? それは、このトラブルの原因は自分にある、と認めているからです。言葉として表現はされませんが、あのことについては悪かったと思っている、おまえがほかの男といっしょにいることに腹を立てているわけではない、でも、俺がこうして非を悔いた以上、その男はもう不要じゃないか、だから、帰ってもらえよ、と「説得」しているのです。

jeanne black

自分になにも非がないと考えている男が、恋人が他の男といっしょにいるのに腹を立てず、冷静に「説得」する、なんて話はないでしょう。だから、「浮気はやめなよ」という邦題は、まったくの見当はずれなのです。この線で邦題をつけるなら「浮気はやめたよ」でしょう。原因は男のほうにあるのです。

もちろん、He'll Have to Stayの歌詞を書いたチャールズ・ランドルフ・グリーンは、原曲を正確に解釈しています。原曲のもっとも魅力的な部分は、自宅ではなく、バーかダイナーから電話をかけているという状況設定にあることを明確に認識し、これをひっくり返して攻撃しているのです。それがブリッジにおける以下のラインです。

I can hear the jukebox playing soft and low
And you're out again with someone else, I know

ジュークボックスの音が聞こえるわよ、まただれかといっしょに遊びまわっているんでしょう、と来るわけで、このラインによって、このアンサー・ソングはビルボード・トップ・テンへの道を開いたといっていいほどです。

jeanne black

☆ ビリー・ストレンジとジーン・ブラック夫妻のこと ☆


公的人物のことを書くのに、知り合いであるかのように敬称をつけるのは不見識です。そういう過剰敬語にも似たことをしていると受け取られるのがイヤで、近ごろは知り合いでも、公的人物には敬称をつけないことにしています。よって、以上の文章では略しましたが、ここからは敬称をつけます。

わたしの友人である、ギタリスト、アレンジャー、作曲家のビリー・ストレンジさんは、かつてジーン・ブラックさんと、「クリフィー・ストーンのホームタウン・ジャンボリー」などのテレビ番組をはじめ、ツアーでもしばしばいっしょに仕事をし、恋仲になったそうです。

jeanne black

しかし、ささやかな運命のいたずらで、ジーンさんはべつの男性と、ビリーさんはべつの女性と結婚し、40年ほどの歳月が流れました。いつのまにか、ともにやもめになっていたお二人は、どこでどうしたか再会し、そして結婚し、現在はテキサスにお住まいです。

オフィシャル・ビリー・ストレンジ・サイトに行けば、どなたでもジーンさんに「ハロー」をいうことができます。夫婦でホストとホステスをつとめているBBSというのは、そうたくさんはないでしょう。なかなか楽しいBBSですし、ときおり、愕くべき裏話も出てくるので、1960年代のハリウッド音楽にご興味のある方はぜひご訪問あれ。

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テーマ : 60年代の輪郭(音楽)
ジャンル : 音楽

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邦題

このジーン・ブラックのほうも、邦題がつけられています。
手持ちの資料によると「帰らざる恋」だそうです。
これも、なんかマリリン・モンローの映画からいただいたような気がしますが・・・。

Re: 邦題

邦題が必要なタイプのタイトルではありますよね。「ヒール・ハフ・トゥ・ステイ」じゃわけがわからんでしょう。「ヒール」といわれたら靴だと思います!

まあ、「帰らざる恋」というのは、意味としては正しい、とはいえますね。タイトルは意味よりも響きが大事ですし、マリリン・モンローの映画からいただいたということがストレートに透けて見えるのも安っぽくて、いいタイトルとはいいかねます。いや、どちらにしろ、いい邦題をつくるのは至難ですが。「抱きしめたい」なんて、意味としては原題から大きくずれていますが、でも、うまくつくったと思います。
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