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エリー・グリニッチ追悼 その9 ダーリーン・ラヴ“ウェイト・ティル・マイ・ボビー・ゲッツ・ホーム”(Wait Till My Bobby Gets Home by Darlene Love)

2009-10-03

曲名
ウェイト・ティル・マイ・ボビー・ゲッツ・ホーム(Wait Till My Bobby Gets Home)
アーティスト
ダーリーン・ラヴ(Darlene Love)
収録アルバム
『ザ・ベスト・オヴ・ダーリーン・ラヴ』(The Best of Darlene Love)
作曲者
ジェフ・バリー、エリー・グリニッチ(Jeff Barry, Ellie Greenich)
リリース年
1963年


できるだけ大ヒット曲を中心に、と思ってはいるのですが、プレイヤーに載せた百曲あまりのエリー・グリニッチのトラックを聴いていると、やはり、耳はノン・ヒットやマイナー・ヒットに引きつけられていきます。スマッシュは聴きすぎているし、どうせよそでも取り上げるだろうという気がしてくるのです。

この曲はほかのものにはない美点があります。これまでに取り上げたバリー=グリニッチの曲は、どれかひとつだけいいヴァージョンがあり、あとは興味の湧かないものばかり、というパターンが多かったのですが、Wait Till My Bobby Gets Homeの3ヴァージョン、いずれもどこかに聴きどころのあるものになっています。

☆ Darlene Loveのオリジナル☆


スペクター・セッションでは、ダーリーン・ラヴはアーティストである以前に、セッション・シンガーであり、ボビー・ソックス&&ブルー・ジーンズの匿名のリード・シンガーになったり、ハリウッドで録音することを嫌ったクリスタルズの影武者としてHe's a Rebelでリードをとったりしました。

そういう貢献に対する報奨金のようなものだったのでしょう。ダーリーンは自分自身の名義でも、フィレーズからいくつかシングルをリリースしています。その一曲がこのWait Till My Bobby Gets Homeで、63年のマイナー・ヒットです。

そういってはなんですが、フィル・スペクターのプロダクションも肩の力を抜いたような感じで、クリスタルズのDa Doo Ron RonロネッツのBe My Babyで見せた圧倒的な気迫、完璧なサウンドの実現を目指す鉄の意志は、この曲ではまったく見られません。

そういう気のもちようは、フィル・スペクターのようなプロデューサーの場合、まっすぐに音に反映されるように思います。プレイヤーもいつもよりリラックスした音をつくっています。チャート・トップを目指さないなら、こういう音になるわけで、それはそれで悪くありません。

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クリスタルズのベスト盤同様、ダーリーン・ラヴのフィレーズのベスト盤は廃盤のようで、中古にはプレミアムがついてしまいました。となると、例によってBack to Monoボックスで聴くということになるでしょう

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箱はちょっときびしい、という人のために、現在はこのような2枚組ベスト盤があります。といっても、1枚はベスト・コンピレーション、もう1枚はクリスマス・アルバムという変則的なものです。

☆ Marthe & the Vandellas盤 ☆


めずらしく、モータウンがフィレーズのリリースをカヴァーしています。これを聴くと、いつもよりリラックスしているとはいえ、スペクターがきっちりした音をつくっていたことを再認識します。ヴァンデラーズ盤はそれほどまでにルースなつくりなのです。

そもそも、マーサ・リーヴズって、こんなにピッチの悪い人だったっけ、とちょっとビックリしました。エンディングにかけて何度かシャープするので、かなり気色の悪い思いをします。

間奏もおかしなことになっています。だれもソロをとらず、ただのバッキング・トラックにしか聞こえないのです。ブライアン・ウィルソンがプロデュースしたキャステルズ(The Castells)のI Doの間奏によく似ています。これと同じベーシック・トラックにオーヴァーダブされた、ビーチ・ボーイズ盤I Doでは、間奏ではゴングを入れて、キャステルズ盤の据わりの悪さを修正していましたが、このヴァンデラーズ盤Wait Till My Bobby Gets Homeは、そのキャステルズ盤に相当するもので、リード楽器がないために、間が抜け、焦点のない間奏になっています。

しかし、音楽というのは妙なもので、そうした欠点は欠点として、これはなかなか悪くないヴァージョンに感じます。細部はスキだらけで、本来ならもう数テイク重ねて、修正していくべきだったのでしょうが、リハーサル・テイクのリラックスした楽しさみたいなものが感じられる音になっています。

ほめたんだか、けなしたんだか、わからないような書き方をしてしまいましたが、ほめたのです! しがないアルバム・トラックにしては、楽しい仕上がりです(いや、できあがっていないから、「仕下がり」か!)。


マーサ&ザ・ヴァンデラーズ
Come and Get These Memories/Heat Wave
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☆ エリー・グリニッチのセルフ・カヴァー ☆


歌詞に関するかぎり、バリー=グリニッチの曲というのは、あまり印象に残るものはありません(Chapel of Loveの恥ずかしさ! ジェリー・リーバーがあれを聴いてがっかりしたというのも無理もない)。口ずさみたくなるようであればそれで十分、ぐらいの考えだったのではないでしょうか。

Wait Till My Bobby Gets Homeも、最初はエンジェルズのMy Boyfriend's Backの焼き直しぐらいのつもりだったのかもしれません。しかし、ボーイフレンドが留守のあいだに言い寄ってくる男にも、ちょっと魅力を感じていることが明白にわかるようにしたために、これはあの時代のティーネイジ・ポップとしては、微妙に大人の味がする歌となっています。

そのせいかどうか、エリー・グリニッチ自身のセルフ・カヴァーも、他の曲より据わりがいいように感じます。エリーの年齢とかけ離れた曲には聞こえません。ドラムは例によって腹の立つプレイをしていますが、総体としてはアレンジも悪くなく、Goodnight Baby/Baby I Love Youメドレーと並んで、このアルバムのなかではいいほうの部類に入ります。

Composes, Produces & Sings/Let It Be Written, Let It Be Sung

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テーマ : 60年代の輪郭(音楽)
ジャンル : 音楽

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