2009-09-20
(これはSongs for 4 Seasonsブログのマリー・トラバース追悼記事の3番目にあたるものですが、Exciteのトラブルで、YouTubeへのリンクが受け付けられなかったので、とりあえず、こちらで公開することにします。エリー・グリニッチ追悼は終了したわけではありません。)
疑問は胸にしまっておかずに、口にしたほうがよいことになっています。
PP&MのI Dig Rock'n'Roll Musicで叩いたドラマーはいったいだれだ、LPのバックカヴァーにある名前のなかで可能性があるのは、ポーパーズというバンドのドラマーだけだ、と書いたら、さっそく、Add More Musicのキムラさんから、ポーパーズのドラマーはスキップ・プロコップである、という回答をいただきました。
ちゃんと、マイケル・ブルームフィールドとアル・クーパーのLive Adventures of Michael Bloomfield and Al Kooperのオープナー、The 59th Street Bridge Songでのプロコップのプレイを思いだしました。イントロのスネアでの四分三連が印象的でした。あとはライトハウスのOne Fine Morningですが、これはバンド名だけ記憶がよみがえり、楽曲タイトルは思い出せませんでした!
タイムはまずまず、ミスは多めのプレイヤーという印象ですが、ミスはワン・ショットのライヴだから、ということにしておきます。Fillmore East: The Lost Consert Tapesという別テイク集にも、The 59th Street Bridge Songが入っていますが、こちらのイントロは三連を使わず、リスクを避けているので、面白くありません。

タイムだけでいうと、Super Sessionで叩いたエディー・ホーのほうが精密です。スキップ・プロコップを検索していて、どういうわけか、エディー・ホーのディスコグラフィーを見つけてしまったので(アル・クーパーつながりか)、心覚えのつもりでURLをペーストしておきます。
EDDIE HOH info
スネアのサウンドも好み、ライドの扱いも端正、タイムも精確、これほどのセッション・ドラマーはそうたくさんはいないのですが、なぜか不遇で、評価も高くありません。となると、判官贔屓がはじまっちゃうのですな。ジム・ゴードン、ジム・ケルトナー、と第二世代のハリウッドのプレイヤーを指折り数えると、三本目の指はエディー・ホーだとわたしは考えます。
話が逸れましたが、スキップ・プロコップのキャリアというのは、ポーパーズ→在籍のままセッション・ワーク(PP&M)→ライトハウスとセッション・ワーク(Live Adventures of Michael Bloomfield and Al Kooper)といった大枠のようです。
文字で読んだデータにすぎず、I Dig Rock'n'Roll Musicのドラマーはスキップ・プロコップであると、体で納得したわけではないのですが、そういっているソースがあるということだけはご報告しておきます。いずれ、Live Adventuresやライトハウス(1枚だけ手に入れた)などときっちり比較してみたいと思います。
スキップ・プロコップのグループ、ライトハウスの唯一のヒット、One Fine Morningは以下の編集盤に収録されています。
◆ オーソドクシー ◆◆
さて、前回同様、PP&Mのトラック・リストをつくりました。
500 Miles
Lemon Tree
The Cruel War
If I Had A Hammer
It's Raining
If I Had My Way
Autumn To May
Where Have All The Flowers Gone
Puff, The Magic Dragon
This Land Is Your Land
Gone The Rainbow
Old Coat
Blowin' In The Wind
Stewball
All My Trials
Don't Think Twice, It's All Right
こちらは一目瞭然、PP&Mの表芸のほうです。つまり、フーテナニーの世界、モダーン・フォーク・ミュージックのレパートリー。いかにもあの時代(日本のフォーク・ブームは60年代初期ではなく、中期だったように記憶している)らしい曲が並んで、好き嫌いにかかわりなく、懐かしくはあります。
こうしたフォーク・クラシックで昔も今も好きなのは、なんといってもAll My Trialsです。この曲はヴァージョンどうこうとは関係なく、昔からすごく好きなので、PP&M盤もけっこうな出来だと思います。ほかのヴァージョン、たとえば、ピーター&ゴードンのフォーク・ロック・アレンジ(ちょっとちがうか)だって、そこそこ楽しめてしまいます。
ついでにいうと、わが家にはほかに、ハイウェイメン(「漕げよマイケル」Michale Row the Boat Ashoreのグループ)、レイ・スティーヴンズ(!)、ディック&ディーディー(!!)、サイドウォーク・スウィンガーズ(ハリウッドのミュージシャンによるスタジオ・プロジェクト)があります。
いちばん素直なレンディションはハイウェイメン盤です。なんたって、All My TrialsとMichale Row the Boat Asoreは兄弟みたいな曲で、歌詞の一部は同じなので(ヨルダン川は刺すように冷たい云々のくだり)、ハイウェイメンが歌うのは当然すぎるほど当然なのです。
他のヴァージョンは略。サイドウォーク・スウィンガーズはお聴きなってもいいと思いますがね。いや、レイ・スティーヴンズだって、最初の違和感を乗り越えれば、けっこう聴けてしまいます。
ピーター&ゴードンのAll My Trialsは以下の盤に収録されています。
◆ インプロヴィゼーショナル・コーラス ◆◆
長いあいだ遠ざかっていて、今回、あれこれ聴いていて「再発見」し、深いため息をついてしまったのはGone the Rainbowです。
サンプル Gone the Rainbow
あの時代のアマチュア・フォーク・グループの多くが、この曲をカヴァーしたのではないでしょうか。どちらが親でどちらが子か知りませんが、The Cruel War(「悲惨な戦争」)とは、いっぽうが原曲、もういっぽうがアダプテーションという関係なのでしょう。The Cruel Warより、Gone the Rainbowのほうが、まだしも臭みのすくない歌詞だと感じます。プロテスト・ソングだの、反戦歌だのという野暮天はわたしの好みではないのですが、Gone the Rainbowは、歌詞を無視すればいい曲だと思います。
それにしても、人間はおかしなものというか、それが当然なのか、この曲を聴いて、遙か昔の、軽音楽部の後輩にあたる、女子ばかりのフォーク・グループのことを思いだしてしまいました。そういう曲というのはいっぱいあります。やはり、身近な人間のプレイも聴いておくべきなのでしょうね。

いきなりまとめに入りますが、Peter, Paul and Maryが、モダーン・フォークのグループのなかでもっとも長く親しまれたのは、やはり、独特のハーモニー・スタイルのせいだと思います。
ピッチの上下の取り方がノーマルではない、というのが最大の特徴ですが、見逃せないのは、厳密なヴォーカル・アレンジをしない、ということです。三人ともわりに自由に歌っているのです。ジャズやポップのコーラス・グループによく見られる、カッチリしたアレンジの対極にあるのです。
だいたいのレンジ分けだけは合意ができていて(キムラさんご指摘の、上からピーター、メアリー、ポールという並び)、あとはそれぞれが思ったように歌い、ときおり、お互いのラインにすり寄ったり、離れていったりというようなやり方だったのではないでしょうか。アレンジではなく、インプロヴだと感じる箇所がたくさんあります。結果として合えばそれでよし、合わなくても、それはそれで面白い、ぐらいの緩い考え方でやっていたのだと想像します。わたしがPP&Mのハーモニーに惹かれたのは、そういうことでした。
静止画にスタジオ録音というクリップではなく、ちゃんとライヴで歌っている動画を三点選んでおきました。
For Loving Me
Early Morning Rain
The First Time I Ever Saw Your Face
Carry It On
このボックス・セットは悪くない編集だと思うが、Album収録の佳曲、たとえばSometime Lovin'がライヴ・ヴァージョンで置き換えられているところが玉に瑕で、少なくともAlbumだけは、このボックスとは別に、単独で買わなくてはならない。
In the Wind
Moving
Album
PP&Mのもっともすぐれたアルバムと断言できる。佳曲が目白押しのすし詰め状態。
プッシュ・ピン・スタジオのデザインになるすばらしいジャケットのことを考えると、CDではなく、LPでもっていたい。
Album 1700
疑問は胸にしまっておかずに、口にしたほうがよいことになっています。
PP&MのI Dig Rock'n'Roll Musicで叩いたドラマーはいったいだれだ、LPのバックカヴァーにある名前のなかで可能性があるのは、ポーパーズというバンドのドラマーだけだ、と書いたら、さっそく、Add More Musicのキムラさんから、ポーパーズのドラマーはスキップ・プロコップである、という回答をいただきました。
ちゃんと、マイケル・ブルームフィールドとアル・クーパーのLive Adventures of Michael Bloomfield and Al Kooperのオープナー、The 59th Street Bridge Songでのプロコップのプレイを思いだしました。イントロのスネアでの四分三連が印象的でした。あとはライトハウスのOne Fine Morningですが、これはバンド名だけ記憶がよみがえり、楽曲タイトルは思い出せませんでした!
タイムはまずまず、ミスは多めのプレイヤーという印象ですが、ミスはワン・ショットのライヴだから、ということにしておきます。Fillmore East: The Lost Consert Tapesという別テイク集にも、The 59th Street Bridge Songが入っていますが、こちらのイントロは三連を使わず、リスクを避けているので、面白くありません。

タイムだけでいうと、Super Sessionで叩いたエディー・ホーのほうが精密です。スキップ・プロコップを検索していて、どういうわけか、エディー・ホーのディスコグラフィーを見つけてしまったので(アル・クーパーつながりか)、心覚えのつもりでURLをペーストしておきます。
EDDIE HOH info
スネアのサウンドも好み、ライドの扱いも端正、タイムも精確、これほどのセッション・ドラマーはそうたくさんはいないのですが、なぜか不遇で、評価も高くありません。となると、判官贔屓がはじまっちゃうのですな。ジム・ゴードン、ジム・ケルトナー、と第二世代のハリウッドのプレイヤーを指折り数えると、三本目の指はエディー・ホーだとわたしは考えます。
話が逸れましたが、スキップ・プロコップのキャリアというのは、ポーパーズ→在籍のままセッション・ワーク(PP&M)→ライトハウスとセッション・ワーク(Live Adventures of Michael Bloomfield and Al Kooper)といった大枠のようです。
文字で読んだデータにすぎず、I Dig Rock'n'Roll Musicのドラマーはスキップ・プロコップであると、体で納得したわけではないのですが、そういっているソースがあるということだけはご報告しておきます。いずれ、Live Adventuresやライトハウス(1枚だけ手に入れた)などときっちり比較してみたいと思います。
フィルモアの奇蹟(紙ジャケット仕様)
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アル・クーパー・アンド・マイク・ブルームフィールド マイク・ブルームフィールド アル・クーパー
SMJ(SME)(M) (2008-12-24)
売り上げランキング: 70192
SMJ(SME)(M) (2008-12-24)
売り上げランキング: 70192
The Live Adventures of Mike Bloomfield and Al Kooper
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Mike Bloomfield
Sony Mid-Price (2008-01-08)
売り上げランキング: 70883
Sony Mid-Price (2008-01-08)
売り上げランキング: 70883
スキップ・プロコップのグループ、ライトハウスの唯一のヒット、One Fine Morningは以下の編集盤に収録されています。
Super Hits of the '70s: Have a Nice Day, Vol. 6
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Various Artists
Rhino (1990-04-04)
売り上げランキング: 253089
Rhino (1990-04-04)
売り上げランキング: 253089
◆ オーソドクシー ◆◆
さて、前回同様、PP&Mのトラック・リストをつくりました。

Lemon Tree
The Cruel War
If I Had A Hammer
It's Raining
If I Had My Way
Autumn To May
Where Have All The Flowers Gone
Puff, The Magic Dragon
This Land Is Your Land
Gone The Rainbow
Old Coat
Blowin' In The Wind
Stewball
All My Trials
Don't Think Twice, It's All Right
こちらは一目瞭然、PP&Mの表芸のほうです。つまり、フーテナニーの世界、モダーン・フォーク・ミュージックのレパートリー。いかにもあの時代(日本のフォーク・ブームは60年代初期ではなく、中期だったように記憶している)らしい曲が並んで、好き嫌いにかかわりなく、懐かしくはあります。
こうしたフォーク・クラシックで昔も今も好きなのは、なんといってもAll My Trialsです。この曲はヴァージョンどうこうとは関係なく、昔からすごく好きなので、PP&M盤もけっこうな出来だと思います。ほかのヴァージョン、たとえば、ピーター&ゴードンのフォーク・ロック・アレンジ(ちょっとちがうか)だって、そこそこ楽しめてしまいます。
ついでにいうと、わが家にはほかに、ハイウェイメン(「漕げよマイケル」Michale Row the Boat Ashoreのグループ)、レイ・スティーヴンズ(!)、ディック&ディーディー(!!)、サイドウォーク・スウィンガーズ(ハリウッドのミュージシャンによるスタジオ・プロジェクト)があります。
いちばん素直なレンディションはハイウェイメン盤です。なんたって、All My TrialsとMichale Row the Boat Asoreは兄弟みたいな曲で、歌詞の一部は同じなので(ヨルダン川は刺すように冷たい云々のくだり)、ハイウェイメンが歌うのは当然すぎるほど当然なのです。
他のヴァージョンは略。サイドウォーク・スウィンガーズはお聴きなってもいいと思いますがね。いや、レイ・スティーヴンズだって、最初の違和感を乗り越えれば、けっこう聴けてしまいます。
ピーター&ゴードンのAll My Trialsは以下の盤に収録されています。
A World Without Love/I Don't Want to See You Again
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Peter & Gordon
Collectables (1998-03-10)
売り上げランキング: 37334
Collectables (1998-03-10)
売り上げランキング: 37334
◆ インプロヴィゼーショナル・コーラス ◆◆
長いあいだ遠ざかっていて、今回、あれこれ聴いていて「再発見」し、深いため息をついてしまったのはGone the Rainbowです。
サンプル Gone the Rainbow
あの時代のアマチュア・フォーク・グループの多くが、この曲をカヴァーしたのではないでしょうか。どちらが親でどちらが子か知りませんが、The Cruel War(「悲惨な戦争」)とは、いっぽうが原曲、もういっぽうがアダプテーションという関係なのでしょう。The Cruel Warより、Gone the Rainbowのほうが、まだしも臭みのすくない歌詞だと感じます。プロテスト・ソングだの、反戦歌だのという野暮天はわたしの好みではないのですが、Gone the Rainbowは、歌詞を無視すればいい曲だと思います。
それにしても、人間はおかしなものというか、それが当然なのか、この曲を聴いて、遙か昔の、軽音楽部の後輩にあたる、女子ばかりのフォーク・グループのことを思いだしてしまいました。そういう曲というのはいっぱいあります。やはり、身近な人間のプレイも聴いておくべきなのでしょうね。

いきなりまとめに入りますが、Peter, Paul and Maryが、モダーン・フォークのグループのなかでもっとも長く親しまれたのは、やはり、独特のハーモニー・スタイルのせいだと思います。
ピッチの上下の取り方がノーマルではない、というのが最大の特徴ですが、見逃せないのは、厳密なヴォーカル・アレンジをしない、ということです。三人ともわりに自由に歌っているのです。ジャズやポップのコーラス・グループによく見られる、カッチリしたアレンジの対極にあるのです。
だいたいのレンジ分けだけは合意ができていて(キムラさんご指摘の、上からピーター、メアリー、ポールという並び)、あとはそれぞれが思ったように歌い、ときおり、お互いのラインにすり寄ったり、離れていったりというようなやり方だったのではないでしょうか。アレンジではなく、インプロヴだと感じる箇所がたくさんあります。結果として合えばそれでよし、合わなくても、それはそれで面白い、ぐらいの緩い考え方でやっていたのだと想像します。わたしがPP&Mのハーモニーに惹かれたのは、そういうことでした。
静止画にスタジオ録音というクリップではなく、ちゃんとライヴで歌っている動画を三点選んでおきました。
For Loving Me
Early Morning Rain
The First Time I Ever Saw Your Face
Carry It On
Carry It On
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Peter Paul and Mary
Warner Bros. (2004-02-24)
売り上げランキング: 11470
Warner Bros. (2004-02-24)
売り上げランキング: 11470
In the Wind
In the Wind
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Peter Paul and Mary
Warner Bros. (1990-07-17)
売り上げランキング: 29153
Warner Bros. (1990-07-17)
売り上げランキング: 29153
Moving
ピーター、ポール&マリー
Warner Music Japan =music= (2008-06-25)
売り上げランキング: 17677
Warner Music Japan =music= (2008-06-25)
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Album
The Peter, Paul and Mary Album
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Peter Paul and Mary
Warner Bros. (1991-09-02)
売り上げランキング: 181271
Warner Bros. (1991-09-02)
売り上げランキング: 181271
See What Tomorrow Brings
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Paul and Mary Peter
Warner Bros. (1991-07-24)
売り上げランキング: 24177
Warner Bros. (1991-07-24)
売り上げランキング: 24177
Album 1700
Album 1700
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Paul and Mary Peter
Warner Bros. (1991-07-22)
売り上げランキング: 32188
Warner Bros. (1991-07-22)
売り上げランキング: 32188
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テーマ : 60年代の輪郭(音楽)
ジャンル : 音楽