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エリー・グリニッチ追悼 その2 レスリー・ゴア“ルック・オヴ・ラヴ”(Look of Love by Lesley Gore)

2009-09-10

曲名
ルック・オヴ・ラヴ(Look of Love)
アーティスト
レスリー・ゴア(Lesley Gore)
収録アルバム
『ゴールデン・ヒッツ・オヴ・レスリー・ゴア』(The Golden Hits of Lesley Gore)
作曲者
ジェフ・バリー、エリー・グリニッチ(Jeff Barry, Ellie Greenich)
リリース年
1964年
the best of the ronettes


レスリー・ゴアはジェフ・バリー=エリー・グリニッチのものを2曲ヒットさせています。ひとつは彼女の代表作にカウントしていいであろう「ルック・オヴ・ラヴ」(Look of Love)、もうひとつは「メイビー・アイ・ノウ」(Maybe I Know)です。

「ルック・オヴ・ラヴ」(Look of Love)といっても、ライターがちがうのでおわかりでしょうが、バカラック=デイヴィッド作の、映画『カジノ・ロワイヤル』のテーマとは同名異曲です。

☆ Look of Loveオリジナル☆


この時期のレスリー・ゴアはニューヨーク(とりわけベル・サウンドとA&Rレコーディング)で、クラウス・オーゲルマンのアレンジ、クウィンシー・ジョーンズのプロデュースで録音していました。

It's My PartyやJudy's Turnといったデビュー時のヒット曲でドラム・ストゥールに坐ったのは、ゲーリー・チェスターであることがわかっていますが、Look of Loveのあたりはどうでしょうか。チェスターかもしれませんし、バディー・サルツマンやバーナード・パーディーあたりかもしれませんが、いずれにしても、地味ながら文句なしに素晴らしいグルーヴをつくっています。

イントロの尻尾、ヴァースに入る直前に、タムタムのアクセントを使っていますが、チューニング、サウンド、タイミング、すべて完璧で、惚れ惚れする一打になっています。また、1:06あたり、ヴァースからブリッジにつなぐフィルインでは、スネアのあいだにハイハットを一打だけはさむ、ややハイブロウなプレイもしていて、ほほう、です。

また、このブリッジの出口、ヴァースに戻る直前の四分三連をふくむタムタムによる四打も、完璧なチューニングの助けもあって、当たり前のフィルなのに、素晴らしいと拍手したくなります。

楽曲だけでは絶賛するほどの出来ではないかもしれませんが、レスリー・ゴア=クラウス・オーゲルマン=クウィンシー・ジョーンズ、そして、氏名未詳のドラマーのチームは、見事なレンディションをしています。さびしくもなく、ゴチャゴチャとうるさくもなく、ちょうどよいサウンドというのは、できそうでできないものです。

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☆ レスリー・ゴア自身のヴァリアント ☆


どういうわけか、ミディアム・シャッフル・ビートの曲にスレイ・ベルを入れると、突然、クリスマス・ソングのムードが横溢します。この原理に、会社のだれかが目をつけたのでしょう。レスリー・ゴアの「ルック・オフ・ラヴ」には、スレイ・ベルやティンパニーなどをオーヴァーダブした、クリスマス・ミックスがあります。

正直にいって、このような変則的なオーヴァーダブはきれいなものではないし、「いい処理」でもないと思います。でも、どういうわけか、たぶん、ティンパニーのせいだと思うのですが、このエディションは昔から好きで、『イッツ・マイ・パーティー』(It's My Party)という、ベア・ファミリーの5枚組ボックスに大枚をはたいても満足できた理由のひとつは、このトラックが収録されていたことです。

珍品にすぎないといってしまえばそれまでですが、レスリー・ゴア・ファンをつかまえては、「このエディションを聴いたことある?」と昔から押し売りをしています! ひとつだけ残念なのは、オーヴァーダブのせいで、ドラム、とくにハイハットをはさんだハイテクニックのフィルインが聞こえなくなってしまったことです。まあ、それはオリジナル・ミックスで聴けばいいことです。

このクリスマス・ミックスがあるだけで、「ルック・オヴ・ラヴ」(Look of Love)には、わたしが知るかぎり、他のアーティストによるカヴァーはないようです。

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☆ もう一曲のヒット、「メイビー・アイ・ノウ」 ☆


上述のように、レスリー・ゴアは、もう一曲、バリー=グリニッチの曲をヒットさせています。その「メイビー・アイ・ノウ」(Maybe I Know)は、「ルック・オヴ・ラヴ」と同じ1964年7月のセッションで録音されました。したがって、ドラムはタイム、タムタムのチューニングから明らかに「ルック・オヴ・ラヴ」と同じプレイヤーであることがわかりますし、独特のごく薄い管のミックスの仕方も「ルック・オヴ・ラヴ」と同じです。

曲はどうかというと、これまた、なんとなく「ルック・オヴ・ラヴ」に似ていて(リズム・アレンジもやはりミディアム・シャッフル)、二匹目のドジョウという感じですが、じっさいには、「メイビー・アイ・ノウ」(Maybe I Know)のほうが先にリリースされ、ビルボード14位のヒットになっています。「ルック・オヴ・ラヴ」(Look of Love)のほうは27位なので、当時の評価は「メイビー・アイ・ノウ」のほうがよく、「ルック・オヴ・ラヴ」は二番煎じと見られたようです。

わたしは、曲の出来も、レスリーのレンディションも、「ルック・オヴ・ラヴ」のほうがいいと思いますが、「メイビー・アイ・ノウ」がダメということはなく、こちらも好きです。たんに二者を比較するなら、「ルック・オヴ・ラヴ」のほうが好みであるというにすぎません。「メイビー・アイ・ノウ」のほうが、ドラムをいくぶん前に出すミックスで、タムタムのハード・ヒットが楽しめます。

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☆ エリー・グリニッジ自身のセルフ・カヴァー ☆


Maybe I Knowには、エリー・グリニッチ自身によるセルフ・カヴァー・ヴァージョンがあります。うーん、イントロの雰囲気は悪くないし、ヴァースに入ってからも、しばらくは楽しめるのですが、ブリッジのあたりから、どうもイヤな方向へとリズム・アレンジがねじれていきます。というか、このドラマー、タイムは悪くないものの、センスは大嫌いで、どうしてそういうフィルインを入れるんだよ、と額に青筋が立ちます。ニューヨークの堕落が明白に表出したグルーヴ。

とはいえ、エリー・グリニッチ自身はべつになにも悪いことをしていません。しいていうなら、こういうリズム・セクションをつくるコントラクターの仕事ぶりを容認した罪の一半はあるかもしれませんが。でも、それだって、時代が悪かっただけともいえます。70年代以降のニューヨークのスタジオは無惨ですからね。

だから、ダサダサなドラムとベースを無視できる人は、そこそこ楽しめるでしょう。

エリー・グリニッチ
Composes, Produces & Sings/Let It Be Written, Let It Be Sung

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テーマ : 60年代の輪郭(音楽)
ジャンル : 音楽

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