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60年代の輪郭 『荒野の用心棒』テーマ曲〈Theme from "A Fistful of Dollars"〉

2009-07-03

タイトル
Theme from a Fistful of Dollars
アーティスト
Henry Mancini
収録アルバム
The Big Latin Band of Henry Mancini
作曲者
Ennio Morricone
リリース年
1968年
The Big Latin Band of Henry Mancini

前々回および前回に引きつづき、またまたさらに『荒野の用心棒』です。今回はテーマ曲のカヴァーを見ます。

Ennio Morricone The Legendary Italian Westernsくどくなりますが、〈さすらいの口笛〉という邦題でヒットした、Titoliという原題の曲は、いわゆるテーマないしはメイン・タイトルではなく、あくまでも挿入曲です。テーマはTheme from "A Fistful of Dollars"というタイトルで、べつにあります。本来なら、オープニング・タイトルの背後で流すのはテーマ曲なのに、『荒野の用心棒』では、冒頭でテーマのかわりにTitoliを流したために、混乱が生まれてしまったのです。

後年のモリコーネの盤のなかには、TitoliをA Fistful of Dollars Overtureというタイトルに改題しているものがあります。はじめからこのタイトルにしておけば、「序曲」と「テーマ」で、簡単に区別がつけられ、その後の混乱は起きなかったでしょうが、もはや手遅れ、あとの祭り、CD化されても、LPの時代に起きた混乱はいっかな修正される気配がありません。

☆監督の注文☆

『荒野の用心棒』の監督、セルジオ・レオーネは、エンニオ・モリコーネに、『リオ・ブラボー』や『アラモ』に使われたEl Deguello(邦題〈皆殺しの歌〉)という曲をもとに、同じようなムードの音楽をつくるように注文しました。

そのムードは『荒野の用心棒』のスコア全体に感じられるのですが、〈皆殺しの歌〉の影響は、〈さすらいの口笛〉よりも、〈荒野の用心棒のテーマ〉のほうに色濃く感じられます。



これが『荒野の用心棒』のメイン・タイトルです。ただし、このクリップは映画のサントラからのものではなく、後年の再録音からとったものです。

つぎに、セルジオ・レオーネ監督が、「これを参考にしろ」といったDeguello、〈皆殺しの歌〉のクリップをどうぞ。



両者が類似しているのは明らかです。このDeguelloという曲については、『リオ・ブラボー』か『アラモ』を取り上げるときに、改めて検討することにします。

☆ヘンリー・マンシーニの『荒野の用心棒』☆

エンニオ・モリコーネ自身のセルフ・カヴァーをのぞくと、『荒野の用心棒』のテーマのカヴァーには、ヘンリー・マンシーニ、ヒューゴー・モンテネグロ、ネッド・ナッシュの3種類があります。

まずはヘンリー・マンシーニ盤です。これはThe Big Latin Band Of Henry Manciniという1968年のアルバムに収録されたもので、『荒野の用心棒』のアメリカでの公開直後に録音されたことになります。

タイトルどおり、ラテンのアルバムなのですが、そういうアレンジがうまくいっているものもあれば、違和感のあるものもあります。さいわい、『荒野の用心棒』のテーマは、もともとラテン的な味があるせいか、悪くない出来です。グレアム・ヤングのトランペット・ソロは、あの時代のハリウッドのスタジオ・プレイヤーたちのレベルの高さを証明しています。

The Big Latin Band Of Henry Mancini
Henry Mancini The Big Latin Sound

01. The Magnificent Seven
02. Springtime For Hitler
03. A Fistful Of Dollars
04. Touch Of Evil
05. Patricia
06. The Good, The Bad And The Ugly
07. Mission Impossible Theme
08. Norma De La Guadalajara
09. Zacatecas
10. Hang 'Em High
11. Las Cruces

☆ヒューゴー・モンテネグロの『荒野の用心棒』☆

ヒューゴー・モンテネグロもヘンリー・マンシーニ同様、当時はRCAのアーティストで、やはりハリウッドのRCAスタジオ(正式名称はRCA Victor's Music Center Of The Worldというすごいもの)で録音していました。時期的にもモンテネグロのアルバムThe Good, the Bad and the Uglyは、マンシーニのThe Big Latin Band Of Henry Manciniと同じころに録音されています。

こういうポップ・オーケストラの大部分は、固定したメンバーをつねに維持しているわけではなく、録音やツアーのたびに編成されます(もちろん、常連メンバーもいるが)。したがって、ハリウッドのオーケストラ音楽(ヘンリー・マンシーニ、パーシー・フェイス、ビリー・ヴォーン、レス・バクスター、ドン・コスタ、ゴードン・ジェンキンズ、ネルソン・リドル、ビリー・メイ、ニール・ヘフティー、サイ・ゼントナーなどなど無数にある!)は、しばしば似たようなメンバーで録音されています。

モンテネグロのアルバムにはクレジットがないのですが、この時期のヒューゴー・モンテネグロ・オーケストラの盤では、フェンダー・ベースの多くはキャロル・ケイがプレイしたことが、ご本人の証言でわかっています。また彼女は、ドラムはハル・ブレイン、ハーモニカはトミー・モーガンで録音されたトラックもあるといっています。

Carol Kaye in the studio 1974
キャロル・ケイ

ヘンリー・マンシーニ盤のドラマーはシェリー・マンですが、キャロル・ケイはThe Big Latin Band Of Henry Manciniのいくつかのトラックでベースをプレイしています。こういうメンバーの重複はめずらしくありません。

ドラムが同じプレイヤーだと、サウンドの手触りが似てしまう場合がありますが、Theme from "A Fistful of Dollars"に関するかぎり、ヘンリー・マンシーニ盤とヒューゴー・モンテネグロ盤は、さいわいなことに、ドラマーがちがうので、あまり類似した音にはなっていません。前回、モンテネグロのTitoliの出来はあまりよくないと書きましたが、Theme from "A Fistful of Dollars"のほうは、まずまずのサウンドで、そこそこは楽しめます。

Hugo Montenegro & His Orchestra "The Good, the Bad and the Ugly"
Hugo Montenegro

01. The Good, the Bad & the Ugly
02. March with Hope
03. The Story of a Soldier
04. The Ecstasy of Gold
05. Theme from 'A Fistful of Dollars'
06. For a Few Dollars More
07. Aces High
08. The Vice of Killing
09. Sixty Seconds to What?
10. Square Dance
11. Titoli

☆ネッド・ナッシュのカヴァー☆

公開が遅れたせいもあって、『荒野の用心棒』はアメリカでは大きなヒットにはならなかったようです。そのためか、挿入曲もテーマ曲も、カヴァーは少なく、あとはずっと後年の1991年にリリースされたネッド・ナッシュという人のものしか知りません。いったい、どういう人かわからないし(つまり、たいした実績がないことを示す)、ポップ・オーケストラ音楽が衰退した時期の録音なのですが、意外なことに、それほどわるい出来ではありません。とくに『荒野の用心棒』のテーマは、ほかのトラックより出来がよいと感じます。

Ned Nash "The Greatest Western Movie Themes"
Ned Nash

01. Rio Bravo
02. Hang 'Em High
03. Man With the Harmonica
04. Fistful of Dollars
05. Magnificent Seven
06. Once upon a Time in the West
07. My Name Is Nobody
08. High Noon (Do Not Forsake Me)
09. Ballad of the Alamo
10. How the West Was Won
11. Johnny Guitar
12. Wand'rin Star
13. Camoncheros
14. Good Luck Jack
15. Good, Bad and the Ugly
16. For a Few Dollars More
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テーマ : 60年代の輪郭
ジャンル : 映画

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