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追悼 レス・ポール その5 イースト・オヴ・ザ・サン(East of the Sun (West of the Moon))

2009-09-03

曲名
イースト・オヴ・ザ・サン(East of the Sun (West of the Moon))
アーティスト
レス・ポール&メアリー・フォード(Les Paul & Mary Ford)
収録アルバム
『16モスト・リクエスティッド・ソングス』(16 Most Requested Songs)
作曲者
ブルックス・ボウマン(Brooks Bowman)
リリース年
1960年(?)
les paul16 Most Requested Songs


過去四回にわたってつづけてきたレス・ポール追悼ですが、最後は60年代と70年代という、全盛期以降に録音された2枚を聴きます。

プレイヤーとしてのレス・ポールがすごいことはよく承知していますが、プレイの質とは次元のちがうところでも、すごい人だったなと思います。なんといっても、六十代にカムバックして、九十歳をすぎてもステージに立っていた(いや、ストゥールに坐っていたが)というのは、だれにでもできることではなく、すごいものだなあと思います。

いや、今日取り上げる盤は、そんな最晩年のものではなく、たんに最盛期をすぎてからのものです。

☆ 太陽の東と月の西のあいだ ☆


まずは、コロンビア時代のベスト盤、『16モスト・リクエスティッド・ソングス』(16 Most Requested Songs)です。上に「60年代のもの」と書きましたが、正確には、1958年から63年にかけての、CBS在籍時の録音を集めたものです。

1955年のエルヴィス・プレスリー登場(いや、これまた正確にいえば、ブームは1956年だが)以降、レス・ポールは「過去の人」になってしまいます。芸能界というのはそういうところだからやむをえません。

人気商売では、どこまでも流行廃りがついてまわるわけで、ジャズ・ギタリストという枠組をやぶって、ポップの世界に入っていったのだから、チャート・トッパーもあれば、バブリング・アンダー・チャートにすら届かないこともあるのは、当たり前のことです。

les paul 16 most requested songs

ただ、そういう時代の空気を離れて、いま、このベスト盤を聴くと、当然ながら、質が落ちたという感触はありません。しいていえば、変化しなければいけない世界にあって、これでは変化の速度が遅すぎ、発表時には時代遅れに聞こえただろうことは、想像力の助けを借りなくてもわかります。

時代の文脈を離れて、いま聴けば、いいじゃない、と思わずニッコリしてしまうトラックもいくつかあります。いまは九月初め、去りゆく夏を惜しむ気分のとき、「イースト・オヴ・ザ・サン」(East Of The Sun (And West Of The Moon))は、なかなか味わいがあります。

惜しいなあ、と思うのは「ビッグ・アイド・ギャル」(Big Eyed Gal)です。イントロのスピード感は乗れるし、あと一歩でジェフ・ベック用の曲(もちろん、ヤードバーズ時代のベックだが)になるのになあ、と思っちゃいます。片足がカントリーにかかっているのが、当時にあってはややアウト・オヴ・ファッションだったかもしれません。やはり、時代から微妙にズレはじめたのでしょうね。

手放しで誉めあげたりはできない盤ですが、でも、ファンとしては、「それほど悪くない年の取り方ではないか」という、穏やかな、やさしい気分で楽しむことができます。ときおり、かつて多分にもっていた、時代の先を行く尖鋭的なセンスの燦めきの、その残照のようなものが仄見えるのもまた一興です。

アマゾン・ジャパンでは16 Most Requested Songsが見あたらないので、かわりに「イースト・オヴ・ザ・サン」が収録されたFabulous Les Paul & Mary FordというCDをあげておきます。Poor People of Parisだの、Makin' Whoopeeだの、Goodnight Ireneといったスタンダード曲を収めたCBS時代の盤です。

Fabulous Les Paul & Mary Ford

Fabulous Les Paul & Mary Ford

☆ チェスター・アンド・レスター ☆


つづいては、チェット・アトキンズに招かれて、ナッシュヴィルで1975年に録音された『チェスター・アンド・レスター』(Chester and Lester)です。などと改めて紹介するまでもなく、ギター好きの方なら先刻ご承知の有名な盤です。

ただし、『チェスター&レスター』には、LP、CD、エクステンディッドCD、その他いろいろなエディションがあり、みな収録曲が異なります。わたしの好みは、「ブラジル」(Brazil)が入っている21曲入りエディションです。

チェット・アトキンズとレス・ポールのギターの腕など、いまさらくどくどしくいっても仕方がないような気がするので、ここではその外側、バンドのほうに触れておきます。

Chet Atkins……guitar
Les Paul……guitar
Randy Goodrum……piano
Larrie Londin……drums
Ray Edenton……guitar
Henry Strzelecki……bass
Bob Moore……bass

このドラムとベースの仕事ぶりがすばらしいおかげもあって、チェットとレスターという二人の大ヴェテランが、リラックスして、気分のおもむくままにプレイすることができ、結果的に非常にいいアルバムになったと思います。何度かふれたように、レス・ポールというのはタイムのいい人で、そこにからむラリー・ロンディンがまた素晴らしいタイムなものだから、間然とするところのないグルーヴになっています。

larry londin

「ブラジル」だけでなく、LPの時代から収録されていた「キャラヴァン」(Caravan)はもちろん、レスターがかつてビング・クロスビーとプレイしたし、メアリー・フォードとのデュオの時代にカヴァーもした、「イッツ・ビーン・ア・ロング・タイム」(It's Been a Long Time)の再演なども、ちょっとホロリとさせられます。

くどくなりますが、ラリー・ロンディンは、タイムだけでいえば、突っ込みまくるケニー・バトリーなどもちろん歯牙にもかけませんし、バディー・ハーマンにくらべてすら精妙で、じつにいいプレイをしています。あの時代のナッシュヴィルのプレイヤーとしては、もっとも精度が高いのではないでしょうか。

いや、派手なことは一切しません。でも、「ブラジル」のサイドスティック・プレイなんか、じつにきれいで、文句ありません。ドラムとベースがいいから、いま聴いても楽しめるのです。ストゥールに坐ったのがケニー・バトリーだったら、すぐに腐ってしまったでしょう。バトリーの災難を免れたのは、ロンディンを絶賛しているチェットのおかげかもしれません。やっぱり、レスターは運がいい!

『チェスター&レスター』国内盤21曲入り

チェスター・レスター&ギター・モンスター

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