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60年代の輪郭 『荒野の用心棒』挿入曲〈さすらいの口笛〉(Titoli)カヴァー盤

2009-07-02

タイトル
Titoli from "A Fistful of Dollars"(盤にはTheme from a Fistful of Dollarsという間違ったタイトルが記載されている)
アーティスト
The 50 Guitars of Tommy Garrett
収録アルバム
El Hombre
作曲者
Ennio Morricone
リリース年
1968年

The 50 Guitars - El Hombre LP cover

前回に引きつづき、また『荒野の用心棒』の話ですが、今回は挿入曲〈さすらいの口笛〉(Titoli)についてです。

『荒野の用心棒』を皮切りとする〈名無しのガンマン〉三部作の挿入曲やテーマ曲は、あとのほうに行くほどカヴァー・ヴァージョンが増えていきますが、『荒野の用心棒』はアメリカでの公開が大幅に遅れた(1967年)せいもあって、アメリカ製カヴァー盤はほんの一握りしかなく、わたしがもっているTitoli(さすらいの口笛)のカヴァーは3種類だけ、テーマ曲(Theme from 'A Fistful of Dollars')のほうも、同じく3種類だけです。

☆〈さすらいの口笛〉のカヴァー1 ヒューゴー・モンテネグロ☆

〈さすらいの口笛〉のカヴァーには、ヒューゴー・モンテネグロ、50ギターズ、リロイ・ホームズの三種があります。

ヒューゴー・モンテネグロの専門はアレンジですが、レコーディング・アーティストとしても活躍しました。オーケストラ・リーダーという分類になりますが、大規模なオーケストレーションによる盤よりも、コンボに毛が生えた程度の編成で録音したもののほうが多く、また出来もそのタイプのほうがいいように思われます。

モンテネグロが他のオーケストラ・リーダーとちがっていたのは、ハル・ブレイン(ドラム)、キャロル・ケイ(ベース)を中心とする、当時のハリウッドを支えていたプレイヤーたちばかりで録音した点にあります。もっともポップ・ロックのニュアンスが強いラウンジ・ミュージックだったのです。

ただし、それが大ヒットに結びつくのはべつの曲でのことで(そちらについてもまもなく取り上げる)、同時期に録音された〈さすらいの口笛〉に関しては、アレンジがうまくいっているとは思えません。爾来、アメリカ人はこういうパセティックなマイナーの曲が不得手らしく、マイナーの臭みを消す方向へと解釈して失敗してしまうことが多いように思われます。

冗談か真面目か、ちょっと見当がつかないのですが、ハル・ブレインはこの曲ではフロア・タムで〈アパッチ〉のパターンを叩いています。それがどうも不似合いで、ヒューゴー・モンテネグロの数あるマカロニ・ウェスタン音楽のカヴァーのなかでも、出来のよくないほうに入れていいと感じます。

Hugo Montenegro & His Orchestra "The Good, the Bad and the Ugly"
Hugo Montenegro

01. The Good, the Bad & the Ugly
02. March with Hope
03. The Story of a Soldier
04. The Ecstasy of Gold
05. Theme from 'A Fistful of Dollars'
06. For a Few Dollars More
07. Aces High
08. The Vice of Killing
09. Sixty Seconds to What?
10. Square Dance
11. Titoli

〈さすらいの口笛〉のカヴァーはあまり出来がよくありませんが、ほかのトラックにいいものがあるので、全体としては悪いアルバムではありません。

☆〈さすらいの口笛〉のカヴァー2 50ギターズ☆

フィフティー・ギターズ(The 50 Guitars of Tommy Garrett)は、パーマネントなバンドではなく、ハリウッドのセッション・プレイヤーたちによるプロジェクトで、1960年代中頃から20枚以上のアルバムをリリースしています。

プロジェクトの名に冠されたトミー・ギャレットは、ふつうはスナッフ・ギャレットの愛称のほうでクレジットされているプロデューサーの本名です。スナッフのほうでなら、ボビー・ヴィー、ジョニー・バーネット、ジーン・マクダニエルズ、ゲーリー・ルイス&ザ・プレイボーイズ、ヴィッキー・カーなどのプロデューサーとして、アーニー・フリーマンやリオン・ラッセルといった名うてのアレンジャーと組み、60年代に数多くのヒットを生んだことでよく知られています。

Leon Russell with Snuff Garrett
トミー・“スナッフ”・ギャレット(右)とリオン・ラッセル。壁にはボビー・ヴィーのLP。

そのギャレットが、自分の名前を冠したこの50ギターズ・プロジェクトは、その名のとおり(いや、まさか50本は大袈裟としても)十数本から二十本ほどのアコースティック(主としてガット)ギターを投入してつくったものです。シリーズ中、ビルボード・チャートに入ったLPは数枚ですが、売れないシリーズを20数枚も出す経営者はいないので、息長く、地味に売れたのでしょう。

かつては、いわゆるムード(モンド)・ミュージックの愛好者のあいだでしか知られていませんでしたが、この数年、ラウンジおよびエキゾティカ(エキゾティック・サウンド)文脈における「最後の金脈」として、一部で注目されはじめ、徐々にアルバムの復刻も進んでいます。

Add More Music50ギターズ・ページ
Songs for 4 Seasonsの50ギターズ関連記事一覧(リアルタイムで検索するために表示に時間がかかります。気長にお待ちください)

50ギターズの〈さすらいの口笛〉は、Theme from "A Fistful Of Dollars"という間違ったタイトル(正しくはTitoli)で、はじめはEl Hombreという1968年のアルバムに収録されました。このアルバム自体はまだCD化されていませんが、この曲をやはり間違ったタイトルのまま収録した、Ultimate Western Collectionという編集盤がリリースされています。

The 50 Guitars of Tommy Garrett "Ultimate Western Collection"
50 Guitars Western Collection

01. Good, The Bad & The Ugly
02. South of the Border
03. Theme from the Magnificent Seven
04. Mexicali Rose
05. Theme from the Hanging Tree
06. Yellow Rose of Texas
07. Domingo de Ronda [From Blue]
08. Theme from a Fistful of Dollars
09. On the Old Spanish Trail
10. Comancheros
11. Green Leaves of Summer
12. Theme from Viva Zapata
13. Conquest (Captain from Castile)
14. Theme from Giant
15. Theme from for a Few Dollars More

6枚目のアルバム、Maria Elenaから、リード・ギタリストとしてトミー・テデスコの名前がクレジットされ、以後、この大エース・プレイヤーの恐るべき高速ランが、ときおり、さりげなく、ごく当たり前に聴かれるようになり、それもまたこのシリーズの売り物になっていくのですが、〈さすらいの口笛〉では、テデスコは軽く流し、全体のアンサンブルで楽しませるアレンジになっています。

☆〈さすらいの口笛〉のカヴァー3 リロイ・ホームズ☆

この曲のカヴァーはほとんどないため、枯れ木も山の賑わいとして、リロイ・ホームズのヴァージョンもあげておきます。片面がホームズ、もう片面がアル・カイオラという、変則的な構成のLP、Non-Stop Western Themesに収録されたものです。

Al Caiola Holiday on Skisホームズはアレンジャー、オーケストレーター、コンポーザーとしても活躍した人で、アル・カイオラがMoreのリズ・オルトラーニと組んだ、知られざる秀作クリスマス・アルバム、The Sound of Christmasにも裏方として参加し、名作Holiday on Skisを提供しています。わたしがホームズの名前を知ったのは、このHoliday on Skisの作曲家としてでした。

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レコーディング・アーティストとしてのリロイ・ホームズは、おもに映画音楽をラウンジ・ミュージック化したカヴァー盤で知られた人でした。一度は忘れられたのですが、ラウンジ・ミュージックのブームによって再び脚光を浴び、一部のトラックが再発されています。

Non-Stop Western Themes (Sunset Records SLS 50312)
Non-Stop Western Themes

Side A (played by the Leroy Holmes and his Orchestra)
01. The Good, The Bad and the Ugly
02. A Professional Gun
03. True Grit
04. A Fistful Of Dollars
05. Ole Turkey Buzzard
06. Hang 'Em High
07. The Big Gundown

Side B (played by Al Caiola)
08. The Magnificent Seven
09. For A Few Dollars More
10. Bonanza
11. The Big Country
12. Wagons Ho!
13. Return Of The Seven
14. High Chaparral

残念ながら、リロイ・ホームズの〈さすらいの口笛〉はあまりいい出来ではない、というか、かなり違和感のあるアレンジ、サウンドですが、ほかにいいトラックがないわけではないので、全体としては悪いアルバムではありません。

『荒野の用心棒』からはもう一曲、テーマ曲のほうもカヴァー・ヴァージョンがあるのですが、それは次回ということにさせていただきます。
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テーマ : 60年代の輪郭
ジャンル : 映画

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