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60年代の輪郭 〈ジェイムズ・ボンド・テーマ〉カヴァー・ヴァージョン ジャズ系コンボ&ビッグ・バンド篇(『ドクター・ノオ』より)

2009-08-02

曲名
ジェイムズ・ボンド・テーマ(The James Bond Theme)
アーティスト
レイ・バレートー(Ray Barretto)
収録アルバム
『セニョール007』(Senor 007)
作曲者
モンティー・ノーマン(Monty Norman)
音楽監督
モンティー・ノーマン(Monty Norman)
監督
テレンス・ヤング(Terence Young)
リリース年
1962年
Ray Barretto

〈ジェイムズ・ボンド・テーマ〉のカヴァー・ヴァージョン総覧、最後はジャズ系のコンボおよびビッグ・バンドのカヴァーを見ますが、そのまえに、前回の〈ジェイムズ・ボンド・テーマ〉オーケストラ篇の書き落としを。

☆ローランド・ショウ☆


デッカ・レコードのアレンジャーで、オーケストラ・リーダーとしての盤もあるローランド・ショウは、ジェイムズ・ボンドを中心としたスパイ・ミュージックのアルバムをいくつかリリースしています。

その一枚"Themes For Secret Agents"に収録されたショウの〈ジェイムズ・ボンド・テーマ〉は、途中でリズム・チェンジが入り、4ビートにするあたりがいかにも60年代のオーケストラで、これはこれで楽しいアレンジです。リロイ・ホームズ、レグ・ゲスト、ジョン・バリー、そして、このローランド・ショウと、オーケストラもの〈ジェイムズ・ボンド・テーマ〉はいいものがそろっています。

Roland Shaw & His Orchestra - Themes For Secret Agents
Roland Shaw & His Orchestra "Themes For Secret Agents"
01. The Man From U.N.C.L.E.
02. Mr. Kiss-Kiss Bang-Bang
03. The Spy Who Came In From The Cold
04. Goldfinger
05. The Ipcress File
06. The Saint
07. Thunderball
08. The Avengers
09. From Russia With Love
10. I Spy
11. Our Man Flint
12. The James Bond Theme

☆レイ・バレートー☆


同じ『ドクター・ノオ』に登場した〈キングストン・カリプソ〉という挿入曲の記事ですでにご紹介済みのレイ・バレートーは、ジャズ・プロパーというわけではなく、ラテン・ミュージックの味わいのほうが強く感じられます。〈ジェイムズ・ボンド・テーマ〉が収録された『セニョール007』というアルバムも、ジャズ臭さはあまりなく、この曲はストレートな8ビートでやっています。

ドラムをセンターに配置し、フラット・ピッキングのフェンダー・ベース(これもいい)やピアノやギロなどのパーカッションを加えたリズム・セクションのプレイがなによりの魅力で、なかなかのグッド・グルーヴになっています。バレートーは、この曲ではパーカッション、ドラムのどちらをプレイしたのかわかりませんが、なかなかけっこうなドラミングで、どのフィルインも上か並、下はありません。

ray barretto - senor 007 lp
Ray Barretto "Senor 007"
01. Mister Kiss Kiss Bang Bang
02. Search for Vulcan
03. Jamaica Jump Up
04. Thunderball
05. From Russia with Love
06. I Wanna Be a James Bond Girl
07. 007 (Double O Seven)
08. Underneath the Mango Tree
09. The James Bond Theme
10. Goldfinger

☆カウント・ベイシー☆


ジャズ、とくにモダン・ジャズというのは、インプロヴに突入して30秒もすると、「いまやっている曲はなんだっけ」になってしまう傾向があります。ジャズ・ファンはそれがお好きなのでしょうが、ポップ/ロック系のリスナーは、なんの曲だかはっきりわかるカヴァーのほうを好ましく感じるでしょう。

カウント・ベイシーの〈ジェイムズ・ボンド・テーマ〉は、そういう意味でジャズ・コンボのポップ・カヴァーの通弊をかろうじて免れています。〈ジェイムズ・ボンド・テーマ〉であることを忘れてしまいそうになる直前に、この曲本来のフレーズにもどるようにアレンジされているのです。バンドとしての技量はすばらしく、下手なプレイヤーはいないため、崩れ方が小さく収まっているおかげで、わたしのようなポップ/ロック系の人間にも楽しめます。

count basie - basie meets bond
Count Basie "Basie Meets Bond"
01. 007
02. The Golden Horn
03. Girl Trouble
04. Kingston Calypso
05. Goldfinger
06. Thunderball
07. From Russia With Love
08. Dr. No's Fantasy
09. Underneath The Mango Tree
10. The James Bond Theme
11. Dr. No's Fantasy (First Version)

☆サウンズ・オーケストラル☆


こういう曲をカヴァーするのは、ジャズ系といっても、ストレートなタイプではなく、ポップ寄りのアーティストが多いのですが、〈キャスト・ユア・フェイト・トゥ・ザ・ウィンド〉(Cast Your Fate to the Wind)の大ヒットがあるサウンズ・オーケストラルも、ジャズの風味を残したポップ、ぐらいのところかもしれません。

〈キャスト・ユア・フェイト・トゥ・ザ・ウィンド〉は、サウンズ・オーケストラル以外のヴァージョンのほうが好きですが、この〈ジェイムズ・ボンド・テーマ〉のカヴァーはドライヴ感のあるいいヴァージョンで、このグループを見直しました。とくに、アップライト・ベース・プレイヤーはタイムが正確で、けっこうなプレイをしています。

Sounds Orchestral Meet James Bond
Sounds Orchestral "Sounds Orchestral Meet James Bond"
01. Thunderball
02. Solitaire
03. Goldfinger
04. Mr Kiss Kiss Bang Bang
05. Blues for Pussy
06. Mr Oddjob
07. Moonshot
08. James Bond Theme
09. Spectre
10. From Russia With Love
11. Kizzy Suzuki
12. 007 Theme

☆サイ・ゼントナー☆


トロンボーン・プレイヤーでバンド・リーダーとして活躍したサイ・ゼントナーは、ハリウッドで録音していたため、いかにもあの時代のハリウッドらしいサウンドになっています。それもそのはず、プロデューサーはフィル・スペクターとハリウッドの横綱を分け合ったスナッフ・ギャレットです。

そういう企画となると、アーティストがだれかということはあまり問題ではなくなり、「いかにも60年代中期のハリウッド・サウンド」という匿名的な音ができあがることになっています。ハリウッドではアーティストが音楽をつくるのではなく、インフラストラクチャーがサウンドのカラーを決めるのです。

00Si Zentner - from russia with love
Si Zentner "From Russia With Love"
01. The James Bond Theme
02. Burke's Law
03. Mr. Lucky
04. Dragnet
05. The Third Man Theme
06. Peter Gunn
07. From Russia With Love
08. M Squad
09. Charade
10. The 007 Theme
11. The Man With The Golden Arm
12. The Fugitive

☆ジェイムズ・ボンド・セクステット☆


その「ハリウッドのインフラストラクチャー」の一角を形成していたレギュラー・スタジオ・プレイヤーのなかに、ジェイムズ・ボンドという名前の、その世界ではそれと知られた第一級のスタンダップ・ベース・プレイヤーがいました。

フェンダー・ベース・プレイヤーのキャロル・ケイによると、ボンドは、007がヒットして以後、名前を「ジミー・ボンド」に変えたそうですが、そういう迷惑なブームにも、ひとつだけいいことがありました。名前のおかげで、ジミー・ボンドははじめてリーダー・アルバムをリリースできたのです。

わたしはこのアルバムでドラムを叩いたジョン・グェランの、すこし突っ込み気味のタイムを好まないので、それほど楽しめないのですが、グェランの早すぎるフィルインで船酔いしないタイプの方なら、ジミー・ボンドやバディー・コレットといった第一級のプレイヤーたちの仕事を楽しめるかもしれません。

james bond sextet
The James Bond Sextet "The James Bond Songbook"
01. James Bond Theme
02. Casino Royale
03. The Man With The Golden Gun
04. From Russia With Love
05. 007 Theme
06. Moonraker
07. Thunderball
08. For Your Eyes Only
09. Goldfinger
10. Live And Let Die
11. Diamonds Are Forever
12. You Only Live Twice

3回に分けて〈ジェイムズ・ボンド・テーマ〉ですが、ほかにもまだヴァージョンがあります。残ったもののうち、マントヴァーニとハンク・マーヴィンは、他の曲とメドレーになっているので、今回はふれず、べつの曲のときに取り上げることにします。

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テーマ : 60年代の輪郭
ジャンル : 映画

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