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エルヴィス映画見直し Speedway by Elvis Presley(映画『スピードウェイ』より その2)

2010-02-05

曲名
スピードウェイ(Speedway)
アーティスト
エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)
収録アルバム
『スピードウェイ』サウンドトラック(Speedway OST)
作曲者
メル・グレイザー、スティーヴン・シュラックス(Mel Glazer, Stephen Schlaks)
リリース年
1968年


『スピードウェイ』でのエルヴィス・プレスリーの役柄は、ストック・カー・レースのドライヴァーです。最近はあまり記憶がありませんが、昔はカーレースというのは、ボクシングとならんでよく映画の題材になりました。ポール・ニューマンやらスティーヴ・マクウィーンの顔が浮かんできますし、『グレート・レース』なんていう変わり種もありました。

エルヴィス・プレスリー自身、以前にも『カリフォルニア万才』(Spinout)でカーレーサーに扮したことがあります。『スピードウェイ』が異なるのは、ストック・カー・レースだという点です(「ストックの車」、すなわち、レース・カーではない普通の車という意味。ただし、それはボディーの話で、エンジンは換装する)。

☆ ふたつのテーマ ☆


プロットを書く前に、テーマ曲をお聴きいただきましょう。

エルヴィス・プレスリー「スピードウェイ」 テーマ(盤ヴァージョン、OSTではない)


最初に聴いたときは、ドラムがすごいのでひっくり返りました。エルヴィスも真っ青になる「あおり」で、ドラム・ビートにケツを蹴り上げられて虫の息というヴォーカル・レンディションに思えました。ただし、あとになって、そうなってもやむをえない事情があったのではないかと考えるようになりました。

この盤ヴァージョンを聴いたあとで映画を見ると、コケるとはいわないまでも、「エ? なんだよこれは? ちがうじゃん!」とあわてることになります。以下のクリップは2分間の(あまり面白いとはいえない)アヴァン・タイトル・シークェンスを含みますが、その後にタイトルが出て、テーマが流れます。

エルヴィス・プレスリー「スピードウェイ」 テーマ(映画ヴァージョン)


うーむ。テイクが違うのかと思いましたが、よく聴くとそういうことではなく、(ベーシック・トラックではなく)おそらくエルヴィスのヴォーカルまで含む完成トラック、すなわち盤に収録されたヴァージョンに、ホーンやストリングスをオーヴァーダブしたもののようです。

いや、それだけではありません。編集して、あとから録音されたトラックにつなげているし(フェイド直前に聞こえるドラムは別人のプレイだろう)、どうやら、エルヴィスのヴォーカルにかかったディレイも、たんにオーヴァーダブによる結果(というか、シンクがズレたという事故?)のようです。なんとも変なことをしたものです。

☆ だれがだれやら ☆


よくまあ、こんなにヘンテコリンなオーヴァーダブとエディットをやったものだ、たいした技術力だ、やはりハリウッドのエンジニアは腕がいい、とは思うのですが、トラックとしての出来の善し悪しとなると、やはりホーン抜きのプレイン・ヴァージョンのほうに分があります。

speedway title

Speedwayという曲を最初に聴いたのは、エルヴィスの映画挿入曲を集めた盤でのことでした。聴いた瞬間、ドッヒャー、ハル・ブレインだ! とひっくり返りました。62年ごろからのサントラはほとんどハリウッド録音、ドラムはたいていの場合、ハル・ブレインと考えてよい、という先入観があったからでもありますが、でも、こんなにすごいプレイができるドラマーは、あそこにもいる、ここにもいるというものではないですからね。

ところが、Easy Come, Easy Goとの2オン1になった『スピードウェイ』のOST盤を買って、クレジットを見ると、ドラムはD・J・フォンタナとバディー・ハーマンとされていました。そういってはなんですが、フォンタナでないのはだれにでもわかります。でも、バディー・ハーマンはねえ……。ハル・ブレインのようなド派手なプレイをしたのを聴いたことはありませんが、タイムはいいし、めったに見せないものの、テクニックもあります。

spedway credits

そうかあ、バディー・ハーマンか、と納得したような、そうでもないような、疑問の残る中っ腹な気分でした。Speedwayという曲もハル・ブレイン的イディオムがチラホラしますが、ほかのトラックでは、どこからどう見てもハル・ブレインというプレイが聴けるのです(あとでそのトラックに言及するときにくわしく書く予定)。68年は、ハル・ブレインが叩いた『カムバック・スペシャル』が録音された年なので、これがリファレンスになるのです。

bob moore grady martin buddy harman

☆ やっぱりハル・ブレイン ☆


しかし、あとになって、数カ所のウェブ・サイトで、ドラムはバディー・ハーマンとハル・ブレインとしているのを見ました。だれかひとりのまちがいをみなが孫引きしたというケースもありえますが、もっとも蓋然性が高いのは、「Double Feature」シリーズではない、べつの『スピードウェイ』のOSTには、ハル・ブレインの名前があがっている、ということです。

たとえば、elvispresley.com.auというファン・サイトでは、このアルバムのクレジットは以下のようになっています。

Tiny Timbrell, Donald Owens, Alvin Casey, Tommy Tedesco (guitars), Pete Drake (steel guitar), Bob Moore (bass), Hal Blaine, Buddy Harman (drums), Larry Knechtal, Don Randi, George Cast (pianos), Boots Randolph (sax), Roy Caton, Virgil Evans, Oliver Mitchell (trumpets)

エルヴィスのサントラにはそういうものが散見するのですが、これまた奇妙なメンバーです。ナッシュヴィルとハリウッドの混成部隊、それもほぼ五分五分ぐらいの割合なのです。わたしにわかる範囲でいうと、アルヴィン(普通はアル)・ケイシー、トミー・テデスコ、ハル・ブレイン、ラリー・ネクテル、ドン・ランディー、ロイ・ケイトン、オリヴァー(普通はオリー)・ミッチェルという七人はハリウッドのレギュラーで、AFMのロサンジェルス支部(ローカル47)所属です。

speedway racing

残りは不明の人もいますが、ドナルド・オーウェンズ、ピート・ドレイク、ボブ・ムーア、バディー・ハーマン、ブーツ・ランドルフはナッシュヴィルです。

ここまでイーヴンになっていると、ナッシュヴィルで録音されたトラックが混じっているというだけで、バディー・ハーマンたちがハリウッドに来て(クレジットではカルヴァー・シティーのMGMスタジオで録音となっている。いや、Double Featureのクレジットではハリウッドのユナイティッド・ウェスタンとされているのだが)、ハリウッドのミュージシャンたちにまじって録音したという意味ではないだろう、と考えたくなります。

その可能性もあると思うのですが、いっぽうで、どうやら、エルヴィスの録音のためにナッシュヴィルのプレイヤーがハリウッドに何度か来た形跡もあり、また、たとえばSpeedwayのベースが聴き慣れないプレイをしているのが気にかかったりもします(たしか、陸軍入隊直前ぐらいの録音で、エルヴィス自身がフェンダー・ベースを弾いたトラックがあったが、あれによく似ている!)。

speedway checker flag

いやもう謎だらけで、頭が痛くなりますが、わたしの「感触」を書いておきます。Speedwayはハル・ブレインのプレイ、他のトラックについても、ほとんどまたはすべてでハルがストゥールに坐ったと思います。バディー・ハーマンのクレジットは、たんなるミスか、判断のつけにくいどれかのトラックでプレイしたという意味ではないかと想像します。

そもそも、クレジットというのは案外面倒なもので、AFMに残されたコントラクト・シートを整理し、一覧をつくるときに、しばしば誤脱が起きています。アル・ケイシーやオリー・ミッチェルが、通称ではなくフル・ネームになっていることから考えて、このクレジットもAFMの書類によってあとで起こしたものに見えます(コントラクト・シートは支払伝票なので本名のフル・ネームを使う)。

なんだかあやふやな状況ですが、ストゥールに坐ったのがハル・ブレインであれ、バディー・ハーマンであれ、Speedwayのドラミングがすばらしいという事実に変わりはなく、いつ聴いても血が騒ぎます。


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テーマ : 60年代の輪郭
ジャンル : 映画

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