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60年代の輪郭 『続・夕陽のガンマン』カヴァー・ヴァージョン1 ギターもの

2009-07-22

曲名
The Good, the Bad and the Ugly
アーティスト
50ギターズ(The 50 Guitars of Tommy Garrett)
収録アルバム
El Hombre
作曲者
エンニオ・モリコーネ(Ennio Morricone)
映画タイトル
『続・夕陽のガンマン』
リリース年
1968年


☆ギター・サントラ☆

いまになると奇妙に感じられますが、1960年代はじめまでは、映画音楽にエレクトリック・ギターがリード楽器として使われることはめったにありませんでした。大つかみにいって、サントラというのはオーケストラ音楽であり、50年代なかばからは、ときおりジャズ・コンボが使われる、といったところでしょう。

『暴力教室』のようにロックンロール誕生に一役買った映画はありますが、ああいうものは例外といっていいでしょう。音楽映画、とりわけエルヴィス・プレスリーのものや、AIP(アメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ)のいわゆる「ビーチ・ムーヴィー」のように、はじめからロックンロールを聴かせることを目的の一部とする映画はべつとして、一般映画にエレクトリック・ギターをリード楽器として使ったものは、なかったといってまず大丈夫だと思います。

ジェイムズ・ボンド・シリーズと、マカロニ・ウェスタンの音楽が、すくなくともわたしたち子どもにはおおいに新鮮なものに響いた理由は、ひとつにはギターが大々的にフィーチャーされていたことです。ハリウッド映画界というのはいたって保守的であり、また、ギルド制に守られているので、人員の入れ替えにかかわるような変化には消極的でした。それがコンボ音楽の採用を遅らせたひとつの要因だろうと考えます。

50年代後半に入って、テレビの影響などによって、ハリウッドの大手撮影所はスタッフ制を維持できなくなり、作曲家やミュージシャンも首にされ、音楽は内製から外注へと変化しはじめます。これが最終的に方向性を決定し、60年代に入って映画音楽が変化する遠因になったのでしょうが、まだそこまでいく段階ではなく、今日はイタリア製西部劇の話です。

☆50ギターズ☆
〈続・夕陽のガンマン〉という曲に、アメリカで多くのカヴァーが生まれた背景には、ハリウッド製映画音楽の「ギター時代」への対応の遅れがあったと思います。イタリアからやって来た西部劇が大ヒットし、そのテーマ曲がギターをフィーチャーしたものだったので、ギター音楽の関係者を刺激したのでしょう。

これまでのマカロニ・ウェスタン音楽の記事で「皆勤賞」の50ギターズは、当然のように〈続・夕陽のガンマン〉もカヴァーしています。このプロジェクトのマカロニ・ウェスタン・カヴァーとしては、この曲の出来がいちばんいいのではないでしょうか。50ギターズの「国境の南」的サウンドにもっとも合った曲と感じます。ほかのギターものカヴァーと比較しても、これがもっとも落ち着きのあるヴァージョンだろうと思います。

50 Guitars Western Collection

The 50 Guitars of Tommy Garret "Ultimate Western Collection"
01. Good, The Bad & The Ugly
02. South of the Border
03. Theme from the Magnificent Seven
04. Mexicali Rose
05. Theme from the Hanging Tree
06. Yellow Rose of Texas
07. Domingo de Ronda [From Blue]
08. Theme from a Fistful of Dollars
09. On the Old Spanish Trail
10. Comancheros
11. Green Leaves of Summer
12. Theme from Viva Zapata
13. Conquest (Captain from Castile)
14. Theme from Giant
15. Theme from for a Few Dollars More

☆ビリー・ストレンジおよびハンク・マーヴィン☆
ビリー・ストレンジは、50ギターズのような「南」の味わいはなく、速めのテンポで、ギターとドラムの活躍するアレンジになっています。哀愁は0パーセント、力強さを前面に出したアレンジになっています。なにごとも好きずきですが、ビリー・ストレンジのマカロニ・ウェスタン・カヴァーとしては、わたしは〈夕陽のガンマン〉のほうが好ましい出来だと考えます。

Billy Strange

Billy Strange His Guitar & Orchestra "Great Western Themes"
01. High Chaparral
02. Hign Noon
03. Magnificernt Seven
04. The Good, The Bad And The Ugly
05. Bonanza
06. Cowboy And Indians
07. Gunsmoke
08. For A Few Dollars More
09. Paladin
10. Hang 'em High
11. Five Card Stud
12. Showdown At La Mesa

時代はずっと下りますが、シャドウズのハンク・マーヴィンおよびヴェンチャーズもこの曲をカヴァーしています。わたしはシャドウズの大ファンで、もちろんハンク・マーヴィンのギター・サウンドも大好きです。だから、彼の〈続・夕陽のガンマン〉も、ギターだけを聴いているぶんには、なかなか悪くないと思いますし、ハンク・マーヴィンのサウンドに合った曲だと感じます。しかし、バンド、とりわけドラムはおそろしくチープで、あまり好みではありません。しかし、こういうドラミングがお好きな方なら、問題なく楽しめるヴァージョンだろうと思います。

Hank Marvin

Hank Marvin "Marvin At The Movies"
01. A Hard Day's Night
02. The Sound Of Silence
03. The Good The Bad And The Ugly
04. A Kiss From A Rose
05. How Deep Is Your Love
06. Windmills Of Your Mind
07. When You Say Nothing At All
08. Son Of A Preacher Man
09. Goldfinger
10. A Groovy Kind Of Love
11. La Bamba
12. Theme From Star Wars
13. My Heart Will Go On
14. Ain't No Sunshine
15. Love Is All Around
16. James Bond Medley
17. Will You Remember Me

ギターものカヴァーとしてはほかにヴェンチャーズのものがあります。しかし、ヴェンチャーズがよかったの60年代だけで、あとの時代の録音は聴くに堪えません。一流スタジオ・ミュージシャンが録音に参加しなくなったせいでしょう。〈続・夕陽のガンマン〉もよろしくない出来です。

次回、オーケストラもののカヴァーを見て、いったん、マカロニ・ウェスタン・シリーズを終わるつもりです。

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テーマ : 60年代の輪郭
ジャンル : 映画

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