スポンサーサイト

--------

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

エルヴィス映画見直し Mexico by Elvis Presley (映画『アカプルコの海』より その3)

2010-01-22

曲名
メキシコ(Mexico)
アーティスト
エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)
収録アルバム
『アカプルコの海』サウンドトラック(Fun in Acapulco OST)
作曲者
シド・テパー、ロイ・C・ベネット(Sid Tepper, Roy C. Bennett)
リリース年
1963年


今日も挿入曲2曲、スコア1曲ぐらいのペースでいきたいと思います。

まずはエルヴィスが少年マネージャーのラウールを前に乗せ、自転車でアカプルコの町を走りながら、少年とデュエットで歌うという趣向の曲、Mexicoです。

Mexico


この曲はおおいに好みですが、OST盤にはヴァージョン違いが収録されています。ラウール少年のパートを、スタンドインの女性シンガーが歌っているこのデュエット・ヴァージョンは、ノーマルな盤には収録されていないのです(後年、いろいろな盤が出ているので、そのなかのどれかには収録されているのかもしれないが)。

アカプルコもメキシコもいったことがありませんが、なんだか懐かしい感じのする町です。坂を下って海岸に出るところは熱海のようだし、背後の山は伊東の温泉旅館から見える伊豆の山々のようです。

エルヴィスはこの楽しそうな町に行くことはなく、彼の出演シーンはすべてハリウッドのスタジオで撮影されたのだそうです。そう思ってみると、なんとも面倒な撮影をやっていることに気づきます。引きのショットはスタンドイン、近寄るとスクリーン・プロセスで背後にアカプルコの風物を映して、エルヴィスが演技をはじめる、という形です。

standin
引きのショットはスタンドインを使ってロケで撮影されている。

elvis
アップになると、セットでのスクリーン・プロセスに切り替わる。

いやはや。じっさい、スクリーン・プロセスがむやみに多い映画で、そのせいでなんとも不思議なムードになっています。まあ、いかにも60年代らしいリアリティーのなさ、といってもいいのかもしれませんが。

やはり、無精しないでエルヴィスもメキシコ・ロケに行くべきだったと思います。1963年の時点では、まだ「引き潮」の実感はなかったでしょう。でも、やがてエルヴィスが時代からズレていったのは、ひとりビートルズだけが原因だったわけではなく、むしろエルヴィスの側におおいなる問題があったと思います。

後年、エルヴィスをひととおり聴き、録音データを読んで愕いたのは、60年代中期には、しばしば何年か以前の録音を引っ張り出してきて、シングルとしてリリースしていたことです。あの変化の激しい時代に、そんなことをやっていたら、時代遅れになって当たり前です。どうかしている、といいたくなる愚策です。

screen process elvis

『アカプルコの海』のそこらじゅうにばらまかれたスクリーン・プロセスを見ていて、そうか、これは古い録音を「最新シングル」にしてしまう無精と同じか、と思いました。いわば「消費される」ための映画だから、気合いは入らなかったのかもしれませんが、ロケ地におもむくようにしていれば、画面に力が加わり、結果も違ったものになっただろうと思います。

☆ El Toro ☆


今日のもう一曲、El ToroとはThe Bullという意味のようです。劇中、エルヴィス・プレスリーは闘牛士の衣裳でこの曲を歌います。

El Toro


この曲のドラムは、そこここにハル・ブレインらしさがちらほらするのですが、すでに63年、スタイルが完成していた時期であるにもかかわらず、「どこからどう見ても百パーセントのハル・ブレイン」にはなっていません。それは主として「鳴り」の問題のような気がします。たとえば、タムタムの音です。いかにもハル、というタムタムではないのです。

ハル・ブレインはその回想記、Hal Blaine & the Wrecking Crewの一章をエルヴィスに割いています。くわしくはべつの機会にふれますが、そのなかで、はじめて20世紀フォックスのスタジオに行ったときは、機材と録音テクニックの古さに愕いたといっています。

hal blaine gold star studio
ゴールド・スター・スタジオでのハル・ブレイン(1963年ごろ) ハルのセットには3本のマイクが当てられていることがわかる。

ドラムには上から全体に対して1本のマイクを当てるだけだったために、キック・ドラムの音を拾えず、したがったロックンロールらしいサウンドにはならなかったのだといいます。結局、インプットを増やすために応急処置がとられ、なんとかレコーディングを終えたということですが、映画を見ていると、サントラ盤とのミキシングの違いが気になるときがあります。

『アカプルコの海』はレイディオ・レコーダーでの録音なので、いつものハル・ブレインに近い音になりそうなものですが、どの曲もハルの個性が際だつ音にはなっていません。プロデューサーの要求か、エンジニアの考え方の違いか……。いや、いまのところ、答のない疑問にすぎないのですが。この曲は、ゴールド・スターでリヴァーブを深めにかけて録ってくれたら、もっと面白くなったかもしれない、惜しい、と思います。

☆ スコア2 ☆


本日も、エルヴィスの歌のないスコアのサンプルを2曲おいておきます。どちらも、エルヴィスがつとめることになったホテルのプールサイドのシークェンスで流れるものです。まず最初は、プールで働くライフガードの飛び込みを見て、エルヴィスがほめる場面で流れるものです(この下にdivshareのプレイヤーが表示されていない場合はリフレッシュしてください)。



elvis - jumping board

elvis - jumping board
以上の2ショットはロケで、エルヴィスの衣裳を着たスタンドインが演じている。背後は伊豆山系大室山(ウソ!)

elvis - jumping board
バスト・ショットになると、セットでのスクリーン・プロセスに切り替わる。

screen process
これはべつのシーンからのものだが、スクリーン・プロセスでの撮影方法を捉えたスナップ。

つぎもプールの場面ですが、こちらではエルヴィスが飛び込み台にあがって、水面をのぞき込み、そのとたんにかつての空中ブランコでの事故を思いだし、回想シーンに入り、そしてまたプールの場面に戻るというシークェンスで、中間にべつのタイプの音楽が挿入されています(この下にdivshareのプレイヤーが表示されていない場合はリフレッシュしてください)。



子どものころは、ハリウッド映画のオーケストレーションのことなど、あまり考えていませんでしたが、いまになって聴くと、じつはきわめてハイ・レベルだったことを痛感させられます。


DVD

アカプルコの海 [DVD]
アカプルコの海 [DVD]
posted with amazlet at 10.01.18
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン (2008-06-20)
売り上げランキング: 118566


OST 2オン1
It Happened at the World's Fair/Fun in Acapulco
Elvis Presley
RCA (1997-06-28)
売り上げランキング: 145759


OST extended UK version
Fun in Acapulco
Fun in Acapulco
posted with amazlet at 10.01.18
Elvis Presley
Follow Dream (2004-07-20)
売り上げランキング: 449224


ハル・ブレインとレッキング・クルー
Hal Blaine and the Wrecking Crew: The Story of the World's Most Recorded Musician
Hal Blaine and the Wrecking Crew: The Story of the World's Most Recorded Musician
旧版は絶版、新版はまもなく発売ということらしい。
スポンサーサイト

テーマ : 60年代の輪郭
ジャンル : 映画

トラックバック

コメントの投稿

非公開コメント

最新記事
プロフィール

songsformovies

Author:songsformovies
黄金光音堂へようこそ!

counter
RSSリンクの表示
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
カテゴリ
検索フォーム
最新コメント
月別アーカイブ
最新トラックバック
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。