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エルヴィス映画見直し I Think I'm Gonna Like It Here by Elvis Presley(映画『アカプルコの海』より その2)

2010-01-20

曲名
アイ・シンク・アイム・ゴナ・ライク・イット・ヒア(I Think I'm Gonna Like It Here)
アーティスト
エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)
収録アルバム
『アカプルコの海』サウンドトラック(Fun in Acapulco OST)
作曲者
ドン・ピーターソン、ハル・ブレア(Don Robertson, Hal Blair)
リリース年
1963年


『アカプルコの海』は、エルヴィス・プレスリーの長尺本編13作目だそうです。つまり、すでに、飽きもせずによくまあ同じ映画を撮りつづけるものだ、という段階に突入していたことになり、たぶん、映画としての批評は悪いか、「ない」かのどちらかでしょう。

プロットはシンプルです。エルヴィス・プレスリーは、元サーカス芸人で、空中ブランコでパートナーを落としてしまい、その傷を抱えて放浪して、メキシコまでやってきた、ということになっています。裕福な一家のヴァカンス旅行の船を操縦することを仕事にしていましたが、アカプルコの町で雇い主を怒らせ、首になってしまいます。

bay of acapulco

エルヴィスはラウールという少年と知り合い、あるホテルに職を見つけると同時に、このやり手の少年マネージャーに、あちこちのホテルやクラブのオーディションを受けさせられ、そのたびにステージに上がって歌を披露することになります。ラウールは人使いが荒く、むやみにオーディションを受けさせるので、エルヴィスはほとんど歌いっぱなしになるという趣向です。


☆ Fun in Acapulco ☆


そのあとの展開ないしは並行して描かれるラヴ・ストーリーなどのことはべつのチャンスに書くとして、まずはオープニング・タイトルに流れる主題歌をどうぞ。動画なしです。動画ありのひどい音質のクリップもありますが、腹が立つのでやめたほうがいいでしょう。

Fun in Acapulco


エルヴィス映画のタイトルに流れるものとしては緩すぎるテンポですが、そういうコンテクストを抜きにすれば、シンプルながら(C-Am-Dm7-G7というコード進行!)、なかなか楽しい曲です。もう下り坂の時期なのですが、カムバック以降のバラッドでのイヤな味はなく、抑えめの甘さが好ましい歌い方です。甘みをコントロールできるシンガー、古来稀なり。

アルバムのクレジットでは、ドラムはハル・ブレインとD・J・フォンタナとなっていますが、あちゃあ、フォンタナだ、と気落ちするタイムの不安定な曲はありません。もちろんこのタイトル・チューンも安定したグルーヴですし、タム類の使い方にハル・ブレインの特徴が出ています。サム・クックのAnother Saturday Nightや、ボビー・ソックス&ザ・ブルー・ジーンズのDr. Capran's Officeのタムタムと比較されよ。

hotel

結局、トラップに坐らなくとも、ハルがつねになんらかの形でプレイしていて、タイムを安定させていたのだと思います(ついでにいうと、クレジットされていないパーカッション・プレイヤーが数人参加していると思う。ゲーリー・コールマン、ジーン・エステス、ミルト・ホランドといった手練れのプロがいれば、フォンタナひとり程度の不安定さは帳消しにできる)。フォンタナだけだと50年代のプリミティヴなサウンドに逆戻りで、こういう洗練されたサウンドは作れないでしょう。

それでもなぜフォンタナがいるかということについては、ハル・ブレインがあるインタヴューでヒントになることをいっていました。いわゆる「NBCカムバック・スペシャル」の収録時のことです。フォンタナ(アンプラグド・シークェンスに出演するためにスタジオにいた)がトラップに坐ったハルのところに来て、エルヴィスはなにか不満があるのに、いいだせないでいる、きみからエルヴィスにきいてやってくれ、人見知りするから文句をいえないんだ、といったのだそうです。

昔からのなじみがいて、リラックスさせてくれないとダメだったということです。ハリウッドには、音楽的にいえばフォンタナやスコティー・ムーアよりはるかにうまい人たちが掃いて捨てるほどいたのに、50年代のツアー・バンドのメンバーが、60年代になって、ハリウッドのスタジオにまでついてきたのは、そういう意味だったのでしょう。moral supportです。


☆ I Think I'm Gonna Like It Here ☆


話に入って最初に歌うのは、Vino, Dinero y Amor(ワイン、金、そして愛、という意味?)という曲ですが、べつに悪くはないものの、全部取り上げていては終わらないので、これはオミットします。

同じ〈エル・トリトス〉というクラブで歌われる二曲目、I Think I'm Gonna Like It Hereをどうぞ。

I Think I'm Gonna Like It Here (alternate master)


50年代終わりから60年代はじめにかけてのエルヴィスのヒット曲、たとえばTreat Me Nice、Make Me Know It、Don't Be Cruelあたりを思い起こさせる、軽めのロックンロール・チューンに、舞台はメキシコだからマリアッチ風ブラスで味つけした、といった趣です。メキシコが舞台なので、ロック系の曲は少ないのですが、やはり、バランスを考えて、いつものエルヴィスに近い曲も入れておいたというところでしょうか。

この曲が流れるクラブ〈エル・トリトス〉で、女闘牛士にコナをかけてしまい、これがあとで混乱のタネになります。あとで逃げまわるのなら、手を出すときにもっとよく考えろよ、と思うのですが、そこは映画、いたってテキトーです。

torito's

torito's

torito's

この曲を書いたドン・ロバートソンとハル・ブレアのコンビは、ハンク・ロックリンのPlease Help Me, I'm Fallingの作者でもあります。作詞家は異なりますが、ロバートソンは「知りたくないの」(I Really Don't Want to Know)も書きました。カントリー系のソングライターだということがはっきり出ています。

☆ スコア1 ☆


エルヴィス・プレスリー映画のサウンドトラック・アルバムには、挿入曲が収録されているだけで、スコアはまったく入っていません。ジョゼフ・J・リリーによる『アカプルコの海』のスコアは、状況のしからしむるところで、ラウンジ的、エキゾティカ的なニュアンスがあり、なかなか楽しめます。

laour

ということで、毎回すこしずつ、映画から切り出した断片的なスコアをおくことにします。以下はラウール少年が朝からエルヴィスのために出演契約をとって歩く場面で流れるストリングスのキューです(この下にdivshareのプレイヤーが表示されていない場合はリフレッシュしてください)。




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テーマ : 60年代の輪郭
ジャンル : 映画

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謹賀新年

http://www.elvispresley.com.au(.comつける意味があるのかわからない、ハトミミ.comみたいなものか)によると、「January 22, 1963 Radio Recorders - Hollywood, California」の録音となっているので、47周年のあすまで待ったほうが“キリ”がいいかなとも思いましたが、そこまで待つならあと3年待った方が“キリ”が良いということにも成りかねないので、新年のご挨拶は早いほうが良いと思い書き込みます。

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
エルヴィス映画特集、映画見たことないのでこのブログで追体験させてもらいます。
ハル・ブレアにとってもエルヴィスの曲を書いたということは自慢だし、世間の評価も実入りも良かったのでしょうが、ハンク・ロックリン好きとしては、「Please Help Me, I'm Falling」がもっと評価されて欲しいものです!

冥土の旅もとうになかばを過ぎて

「めでたさも中ぐらい」を通り越して、「めでたさも九分目減り」てな年齢になってきました。ともあれ、未来形で「おめでとうございますでしょう」って、日本語には明確な未来形がないのか!

エルヴィス映画をご覧にならないとはやや意外でした。tonieさんはわたしよりずっとエルヴィスがお好きだと理解しているものですから。「若大将シリーズ」(べつに「水戸黄門」でもかまわないのですが)の退屈さを賞味することができれば、エルヴィス映画もそれなりに楽しいのではないでしょうか。とくに、エルヴィスの歌がお好きなら、チャールズ・オカーランの「ふり」もいっしょに聴くとまた格別だろうと思います。

Q&Aソングスでハンク・ロックリンを取り上げる予定だったのですが、tonieさんがお好きなことを考えると、気が抜けた状態で書くのは、書かないよりずっと悪いと思いとどまりました。

まあ、年をとるたびに、「好球必打」の余裕はない、どんな球でも打ちにいこう、という意識が強くなり、つぎの一球でおしまい、つぎのイニングでサダン・デス、九回裏2アウト満塁で降雨コールド、といった突然のゲームセットを覚悟するようになってきています。だとしたら、どんなものでも「書かないよりは書いたほうがマシ」かもしれず、いつまでたっても、『オズの魔法使い』のように、二叉路に立つたびに逡巡ばかりしています。まあ、覚っちゃったら、そう長生きするわけにもいかないので、百八つの煩悩を百三つぐらいまでに減らすのが上品かもしれませんね。
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