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60年代の輪郭 『続・夕陽のガンマン』テーマ曲

2009-07-09

曲名
The Good, the Bad and the Ugly
アーティスト
ヒューゴー・モンテネグロ&ヒズ・オーケストラ(Hugo Montenegro & His Orchestra)
収録アルバム
The Good, the Bad and the Ugly
作曲者
エンニオ・モリコーネ(Ennio Morricone)
映画タイトル
『続・夕陽のガンマン』
リリース年
1967年
Hugo Montenegro-The Good, the Bad and the Ugly


☆ギター・サントラ☆


当時、明確にそのことを認識していたわけではありませんが、子どものころ、マカロニ・ウェスタンとスパイ映画が好きだったのは、アクションを好んだからだけでなく、音楽も好きだったからです。音楽が目当てで映画館に行くことはありませんでしたが、つねに、テーマ曲で盛り上がっていました。

なぜマカロニ・ウェスタンやスパイ映画(とくにジェイムズ・ボンド)の音楽を好んだかというと、半分はいい曲がたくさんあったからです。そしてもう半分は、後年になるとわからなくなってしまうことですが、映画音楽としては非常にめずらしく、しばしばエレクトリック・ギターがリード楽器としてフィーチャーされていたことです。

morricone credit title

これは当時の映画音楽にあっては大きな魅力でした。60年代はじめまでの映画音楽というのは、基本的にはオーケストラ音楽で、ハリウッドのメイジャー・スタジオ所属の作曲家、アレンジャーのバックグラウンドは、クラシックかジャズだったのです。当然、じっさいのスコアもこの二者から導き出されたものが圧倒的な主流でした。

いや、ジャズですら、映画のなかでよく使われるようになったのは50年代後半に入ってからのことで、映画音楽というのは、きわめて保守的なものだったのです。

Alessandroni
アレッサンドロ・アレッサンドローニ

エンニオ・モリコーネ作以外にも、ギターをうまく使ったイタリア製西部劇音楽はありますが(たとえば『続・荒野の用心棒』や『南から来た用心棒』のイントロ)、やはりモリコーネは抜きんでています。子どもは、毎度、モリコーネのサントラのギターを聴いてはおおいに盛り上がっていました。もちろん、このあたりはブルーノ・ニコライがかかわっていたところなのかもしれませんが。

〈さすらいの口笛〉ではアレッサンドロ・アレッサンドローニ(Alessandro Alessandroni)が、その後の二作ではブルーノ・バティスティ・ダマーリオ(Bruno Battisti D'Amario)という人がリード・ギターをプレイしたといわれています。

アレッサンドローニはモリコーネ・セッションの常連で、口笛の名手でもあり、またヴォーカル・ハーモニーのアレンジとコンダクトもしたそうです。したがって、モリコーネのサントラに登場する口笛もまた、アレッサンドローニの仕事ということなのでしょう。ということで、近年のアレッサンドローニのライヴはいかが?



☆最初で最後の大ヒット☆


〈続・夕陽のガンマン〉は、マカロニ・ウェスタンのテーマ曲としては、はじめてビルボード・ポップ・チャートにチャートインしました。しかも、2位まで行く正真正銘の大ヒットだったのですが、ただし、それはオリジナル・サウンドトラックではなく、アメリカ人オーケストラ・リーダー、ヒューゴー・モンテネグロのカヴァー・ヴァージョンでした。

モリコーネのOST盤と、モンテネグロのカヴァーを比較してまず思うのは、モンテネグロ盤は「勝負が早い」ということです。最初の一小節から、ドラム、ベース、ギターのリズム・セクションは、基本リズム・パターンをすでにプレイしています。このベーシック・リズムだけのイントロが4小節、5小節目にはオカリナのメロディーが入ってきています。これは通常のポップ/ロック系のシングルと同じような構成です。
Poster

それに対してモリコーネ盤は、3小節目にはオカリナのメロディーが入ってくるのですが、基本リズム・パターンが出てくるのは、ずっと先のことで、勘定するのに疲れて、まちがえたかもしれませんが、21小節目にギターが出てきて、それから数小節たって、ドラムの音が大きくなり、リズミカルになります。時間にすると1分ほどたってから「本題」に入るという感じです。モンテネグロ盤とは正反対で、ポップ/ロック系のシングルでは、まずぜったいに使わないアレンジ、構成です。

いや、エンニオ・モリコーネないしはブルーノ・ニコライのアレンジ、オーケストレーションが間違っているというのではありません。サントラは映画のなかでどう聞こえるかがなによりも大事なのだから、ときには「勝負の遅い」アレンジも必要になります。たんに、シングル向きにはつくっていない、というだけにすぎません。じっさい、ギターが入ってきてからはおおいに盛り上がる、楽しいヴァージョンだと思います。

モンテネグロ盤のほうは、「オーケストラ」と称してはいるものの、コンボのパフォーマンスにところどころで弦や管をかぶせただけといった雰囲気で、印象としてはコンボ・サウンドです。じっさい、最大の魅力はハル・ブレインのドラミングと、未詳の二人のプレイヤーによる、ギターのコンビネーション・プレイです。

wallach and eastwood

このトラックでベースをプレイしたキャロル・ケイによれば、ハーモニカはトミー・モーガンだったそうです。モーガンは長年のあいだ、ハリウッドのスタジオでハーモニカの第一人者として活躍してきたプレイヤーです。モーガンの仕事でもっともよく知られているのは、ビーチボーイズの『ペット・サウンズ』に収録されている〈アイ・ノウ・ゼアズ・アン・アンサー〉でのバス・ハーモニカのプレイです。

モンテネグロは、オーケストラ・リーダーとして、すでに『ナポレオン・ソロ』のアルバム・ヒットをもっていましたが、シングル・ヒットはこれがはじめてであり、そして、最後になりました。当時のハリウッド産ポップ・オーケストラの標準的な音とはすこし異なる、ハル・ブレインの強めのビートをフィーチャーし、時代に合わせて微調整した、彼のポップ/ロック寄りのサウンド作りが実を結んだものと感じます。

映画が大ヒットしたためでしょう、〈続・夕陽のガンマン〉のテーマには、これまでの二作よりずっと多くのカヴァー盤が生まれていますが、それは稿を改めて見ていくことにします。

☆各種アルバム☆


近ごろはみな拡大版になってしまう傾向があって、『続・夕陽のガンマン』のサントラ盤も21曲入りにふくらんだものが出まわっています。だれしもトラック数の多いほうが嬉しいのでしょうが、LP時代と同じ12曲で十分のような気もします。

Ennio Morricone "The Good, the Bad and the Ugly" (Soundtrack)
The Good, the Bad and the Ugly OST

01. Il Buono, Il Cattivo, Il Brutto (The Good, The Bad And The Ugly)
02. Il Tramonto (The Sundown)
03. Sentenza
04. Fuga A Cavallo
05. Il Ponte Di Corde
06. Il Forte (The Strong)
07. Inseguimento
08. Il Deserto (The Desert)
09. La Carrozza Dei Fantasmi (The Carriage Of The Spirits)
10. La Missione San Antonio
11. Padre Ramirez
12. Marcetta (Marcia)
13. La Storia De Un Soldato (The Story Of A Soldier)
14. Il Treno Militare
15. Fine Di Una Spia
16. Il Bandito Monco
17. Due Contro Cinque
18. Marcetta Senza Speranza (Marcia Without Hope)
19. Morte Di Un Soldato (The Death Of A Soldier)
20. L'estasi Dell'oro (The Ecstasy Of Gold)
21. Il Triello (The Trio) (Main Title)

ヒューゴー・モンテネグロの〈続・夕陽のガンマン〉のカヴァーは大ヒットなので、同題のオリジナル・アルバム以外に、さまざまな編集盤にも収録されています。

Hugo Montenegro & His Orchestra "All-Time Greatest Movie Themes & Schemes"
Montenegro Best

01. Come Spy With Me
02. Secret Agent Man
03. Theme From 'I Spy'
04. Thunderball
05. Theme From 'The Man From U.N.C.L.E.'
06. The Silencers
07. The James Bond Theme
08. 'Get Smart' Theme
09. Theme From 'The F.B.I.'
10. The Man From Thrush
11. Theme From 'The Spy Who Came In From The Cold'
12. Goldfinger
13. Our Man Flint
14. Illya
15. The Good, The Bad & The Ugly
16. Hang 'Em High
17. For A Few Dollars More
18. Theme From 'A Fistful Of Dollars'
19. Theme For Three
20. The Godfather Waltz

マカロニ・ウェスタンとスパイ・ミュージックばかりの選曲によるベスト盤。この1枚で、モンテネグロの全盛期の代表作は網羅しているといっていいでしょう。

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テーマ : 60年代の輪郭
ジャンル : 映画

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