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60年代の輪郭 マカロニ・ウェスタン その1『荒野の用心棒』と〈さすらいの口笛〉

2009-06-30

タイトル
Titoli from 'A Fistful of Dollars' (さすらいの口笛)
アーティスト
Ennio Morricone
収録アルバム
A Fistful of Dollars (OST)
作曲者
Ennio Morricone
音楽監督
Ennio Morricone
映画タイトル
荒野の用心棒
原題
A Fistful of Dollars
監督
Sergio Leone
リリース年
1964年
A Fistful of Dollars dvd

☆ 変化の波頭 ☆
1960年代は、すくなくとも自由主義圏のあらゆる国が、疾風怒濤の変化を通り抜けねばならなかった時期で、人々の生活の変化を映す鏡である音楽や映画も、いっぽうでは伝統的な手法を残しながらも、清新な作品があらわれはじめ、新しいテイストをもつ層に受け容れられていきました。

半世紀近い時間がたってみて思うのは、1960年代にあらわれた映画の潮流のうち、もっとも長く残響したのは、当時、日本国内では「マカロニ・ウェスタン」と総称された、イタリア製西部劇だったということです。じつのところ、残響やら、余波やらといったあいまいなものではなく、映画の表現、映画製作者と観客のものの見方、感性それ自体を永遠に変えてしまった、といって過言ではないと思います。

歴史的に見て、最初の「マカロニ・ウェスタン」(「スパゲティー・ウェスタン」あるいは「イタロ・ウェスタン」など、国によって呼び名は異なる)は、『荒野の愚連隊』(The Savage Guns、1961年)であるとか、Gringoであるとか、いろいろな意見があるようですが、そのへんは一握りの熱心な映画ファンや一部の映画史研究家の領分です。一般の映画ファンにとっては、当時もいまも、「最初のマカロニ・ウェスタン」は『荒野の用心棒』以外には考えられません。

Fistful of Dollars opening title capture

☆ ダーティー・ヒーロー ☆

われわれがマカロニ・ウェスタンに喝采を送った理由は、好みがものをいう分野にあってはめずらしいことですが、あまり意見が分かれず、大多数の観客が同意できるほど単純明快だったと思います。

・自己のみを信ずるダーティー・ヒーローの肯定
・同じコインの片側として、正義のヒーローの不在
・魅力的な悪役
・細部のリアリズム、とりわけ男たちの汚さ
・マイナー・コードを多用した音楽

といったあたりに集約できるでしょう。これがヨーロッパや日本で『荒野の用心棒』が大ヒットした理由です。セルジオ・レオーネの特異な表現スタイルと、悪党どもをやっつけるのは正義のためでなく、ただたんに金を稼ぐため、という主人公〈名無しのガンマン〉の描き方が、ご清潔な正義の味方というヒーロー像を飽き足らなく感じてはじめていた観客の共感を喚んだのです。そして、『荒野の用心棒』のこうした魅力はいまでも変わらず、依然としておおいに楽しむことができます。

eastwood_with_a_gun

☆ 『用心棒』と『荒野の用心棒』 ☆

『荒野の用心棒』のプロットと人物配置は、黒澤明の『用心棒』から借用したものだというのはよく知られています(もっとも、『用心棒』自体、ダシール・ハメットからの借り物だったが)。しかし、いうまでもなく、本家と借り手がまったく同じものになることはありません。『用心棒』と『荒野の用心棒』のちがいは「正義の観念」です。

三船敏郎が演じた〈用心棒〉は、タフな言動はするものの、心根においては社会正義の観念をもっています。根本においては、依然として弱きを助け、強きをくじく正義のヒーローなのです。この映画がすぐれていたのは、この「正義のヒーロー」に汚い服を着せ、無精ひげを生やし、下品な言動をさせたことです。それが大ヒットにつながったのでしょう。

Youjinbou

クリント・イーストウッド扮する〈名無しのガンマン〉は、三船用心棒ほど正義の観念をもたず、よりプロフェッショナルです。『荒野の用心棒』のときは、まだ〈用心棒〉と〈名無しのガンマン〉のキャラクターのちがいは鮮明ではなく、「ニュアンスのちがい」程度のものですが、シリーズが進むにつれて、〈ガンマン〉は独自のキャラクターを獲得していくことになります。そのへんについては、後続の作品を取り上げるときにまた。

☆ オールド・タイマーには懐かしい山田康雄の声 ☆

『荒野の用心棒』は大ヒット映画なので、DVDも複数リリースされています。もっとも充実しているのは『荒野の用心棒 完全版 スペシャル・エディション』です。3枚のディスクにオマケが満載ですが、なによりも山田康雄の吹き替えが魅力的。

Fistful of Dollars dvd special edition

もちろん、オマケなどいらない、ただ映画が見られればいい、という方もいらっしゃるでしょう。当然、そういうDVDもあります。

00a fistful of dollars plain dvd

☆ エンニオ・モリコーネの〈さすらいの口笛〉 ☆

この映画の挿入曲〈さすらいの口笛〉(Titoli)は、公開当時、日本で大ヒットしました。ほとんどド演歌といってもいいほどマイナー・コードが多用された、ウェットなメロディー・ラインと、口笛の組み合わせが日本的嗜好にかなっていたのでしょう。エンニオ・モリコーネが名声を博すようになるのは、この映画以降のことです。

モリコーネが口笛をリードにしたのは、ディミトリー・ティオムキンがスコアを書いた『OK牧場の決斗』に影響を受けた結果といわれています。西部劇ではありませんが、ティオムキンの口笛というと『紅の翼』(The High and the Mighty)のほうが有名でしょう。

gunfight at the OK corral

また、Titoliという曲そのものも、監督のセルジオ・レオーネの注文で、やはりティオムキンがスコアを担当した『アラモ』や『リオ・ブラボー』に使われたEl Deguelloという曲を参考にして書かれたそうです(El Deguelloは、ティオムキンが書いたというより、トラッドをアレンジしたものと考えられる。くわしくは、Songs for 4 SeasonsのEl Deguello(OST 『リオ・ブラボー』より その2)Tennessee Babe (OST 『アラモ』より その2)Assault On Precinct 13 Main Theme by John Carpenter (OST 『要塞警察』より)をどうぞ)。

〈さすらいの口笛〉はタイトルバックに流れるので、これがメイン・タイトルなのだと思ってしまいますが、じつは「荒野の用心棒のテーマ」Theme from 'A Fistful of Dollars'という、まったくべつの曲があります。タイトルを勘違いしたまま盤にしているケースもあって、なんともまぎらわしいのですが、国内盤なら、邦題の〈さすらいの口笛〉というタイトルが使われているので、間違うことはないでしょう。この曲の原題はTitoliなので、輸入盤をお買いになるときはご用心あれ。

さらにくわしくは知りたい方はSongs for 4 Seasonsエントリーでどうぞ。

この曲はエンニオ・モリコーネの代表作なので、さまざまな形で盤になっています。当然、『荒野の用心棒』のオリジナル・サウンドトラック盤もあります。映画音楽というのはほとんどつねにそうですが、メイン・タイトルの一部をモティーフとして、さまざまなアレンジを施した変奏曲の使い方が面白いものです。『荒野の用心棒』のオリジナル・サウンドトラック盤もその例に漏れず、さまざまなテンポで演奏される〈さすらいの口笛〉のヴァリエーションが楽しめます。

『荒野の用心棒』オリジナル・サウンドトラック(A Fistful of Dollars OST)
OST front

エンニオ・モリコーネの代表的なベスト盤としては、選曲、デザイン、充実したライナー、すぐれたマスタリングで知られる米ライノ・レコードがリリースした、The Ennio Morricone Anthology: A Fistful of Film Musicという2枚組アンソロジーがあります。

The Ennio Morricone Anthology: A Fistful of Film Music
rhino anthology front

Disc 1
01. Titoli (From A Fistful Of Dollars)
02. Theme From A Fistful Of Dollars
03. Una Pistola Per Ringo
04. Il Ritorno Di Ringo
05. La Resa Del Conti (Aka Sixty Seconds To What)
06. Per Qualche Dollaro In Piu (Aka For A Few Dollars More)
07. Navajo Joe (Original Main Title)
08. The Good, The Bad, And The Ugly (Main Title)
09. The Ecstasy Of Gold
10. Uccellacci E Uccellini
11. Algiers November 1, 1954
12. Ad Ogni Costo
13. Il Giardino Delle Delizie
14. The Big Gundown
15. Love Theme From Guns For San Sebastian (Reprise)
16. Man With A Harmonica
17. Farewell To Cheyenne
18. Once Upon A Time In The West
19. La Ballata Di Hank McCain (The Ballad Of Hank McCain)
20. Piume Di Cristallo
21. Indagine Su Un Cittadino Al Di Sopra Di Ogni Sospetto (Main Title)
22. Citta Violenta (Titoli)
23. The Ballad Of Sacco And Vanzetti Part 2
24. Here's To You

Disc 2
01. Duck, You Sucker (Main Title)
02. March Of The Beggars
03. Senza Motivo Apparente
04. Pazzia Da Lavoro
05. Il Mio Nome e Nessuno
06. Moses Theme (Main Titles)
07. Magic And Ecstasy
08. Gli Scatenati
09. Il Gatto
10. Robodog
11. Cavallina A Cavallo
12. La Tragedia Di Un Umo Ridicolo
13. Chi Mai
14. Sinfonia D'Una Citta Part II
15. Cockeye's Song
16. On Earth As It Is In Heaven
17. Al Capone
18. The Untouchables (End Title)
19. From American Sex Appeal To The First Fellini
20. Tie Me Up! Tie Me Down!
21. Act Of Faith

1枚もので、マカロニ・ウェスタンの代表作はもちろん、ちゃんと『シネマ・パラダイス』『アルジェの戦い』『シシリアン』『アンタッチャブル』まで収録している、The Very Best of Ennio Morriconeも好ましい編集になっています。玉にキズは、『夕陽のガンマン』のテーマ(For a Few Dollars More)がサントラではなく、再録音ヴァージョンであることですが、そちらは他の盤でいくらでも手にはいるので、考えようによっては変わり種ヴァージョンが聴けるこのベスト盤も価値があることになるでしょう。

The Very Best of Ennio Morricone
the very best of ennio morricone front

01. A Fistful Of Dollars
02. For A Few Dollars More
03. The Good, The Bad And The Ugly
04. Chi Mai
05. The Mission
06. Gabriel's Oboe
07. Cinema Paradiso
08. Cockey's Theme
09. Deborah's Theme
10. Once Upon A Time In The West
11. The Man With The Harmonica
12. The Battle Of Algiers
13. The Sicilian Clan
14. Sacco and Vanzetti
15. A Fistful Of Dynamite
16. My Name Is Nobody
17. Moses Theme
18. Frantic
19. Hamlet (version 1)
20. A Heart Beats In Space

ほかにもベスト盤はたくさんありますが、モリコーネとセルジオ・レオーネが組んだマカロニ・ウェスタンの代表作は、たいていの盤に収録されています。
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テーマ : 60年代の輪郭
ジャンル : 映画

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